アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JP-01発症者はただちに意思疎通のできないよう目隠しをし、口と耳をふさぎ、拘束具を全身に着けて密室に隔離しないといけません。SCP-XXX-JP-01発症者との接触は特別に認められたSCP-XXX-JP-01発症者のみに許可されます。
SCP-XXX-JP-01発症者は現実に脅威でないと認められた個人に限り、非発症者の監視のもと、現実世界および架空世界での仕事を条件として自由を許される場合があります。
説明: SCP-XXX-JP-01発症者には常にSCP-XXX-JP-02という行動を選択肢として認識します。SCP-XXX-JP-02を実行した場合、現実世界を離れて架空世界の自分に移行します。架空の世界で発症者が再びSCP-XXX-JP-02を実行すると、再び現実世界に戻ってきます。SCP-XXX-JPを読むたびにSCP-XXX-JP-02は強制的に実行されます。
SCP-XXX-JP-02を架空世界で実行した場合、前回SCP-XXX-JP-02を実行した現実世界の時間に戻ってきます。しかし現実世界で選択した場合は、前回SCP-XXX-JP-02を実行した時点より時間、あるいはそれに似た概念が経過しています。すなわち、SCP-XXX-JP-02を選択すれば現実世界における時間を一瞬たりとも使うことなく、架空世界で好きなだけ時間のようなものを使え、いつでも戻ってこれるということです。
SCP-XXX-JP-02は記憶処理によって架空世界を忘れても、発症者の行動の選択肢としては残り続けます。SCP-XXX-JP-02を実行してしまうと、再び知ることになります。
SCP-XXX-JP-01発症者は非発症者にある程度の時間をかけてSCP-XXX-JP-02のやり方を説明した場合、説明を理解するに至ってしまった非発症者もSCP-XXX-JP-01を発症します。SCP-XXX-JPによってSCP-XXX-JP-01を発症した2名が同じ架空世界を認識した例は1件を除いて報告されておりませんが、SCP-XXX-JP-01発症者によって発症した場合は発症源であるSCP-XXX-JP-01発症者の架空世界と全く同一の世界を認識します。すでに発症している人間の架空の世界を上書きすることはできません。
同一の架空世界を認識するSCP-XXX-JP-01発症者同士は、一方がSCP-XXX-JP-02を実行した瞬間、全く同じ時間にSCP-XXX-JP-02を実行することかどうかを判断できます。これは3人以上の場合も同様であり、現実世界での距離によらず同一の時間であれば可能です。
SCP-XXX-JP-01によって認識する世界には未来予知やK-クラスシナリオの回避、新しいSCPの制作の可能性が指摘されていますが、現時点では現実世界に対する脅威のほうが圧倒的に大きいため積極的な利用は一切禁止されている
SCP-XXX-JP-01発症者はリアルに感じられない現実世界すらもそのままであってほしいと考える場合もありますが、現実世界をより自分たちの都合がいいように改変したり、現実世界を消滅させたりしようと画策することも多々あります。発症者が現実世界に対して架空世界からの攻撃を行うことを阻止するには、時間軸上現実世界からは不可能であるため、同じ架空世界で止める以外に方法はありません。よって同じ架空世界を認識したSCP-XXX-JP-01発症者にしか止めることは不可能です。
現実に影響できる架空世界がいくらでも存在可能なこと、SCP-XXX-01発症者は現実世界に対して関心が薄れやすいため敵対者よりも協力者のほうが表れにくいこと、SCP-XXX-01が口頭や筆記情報でも伝染することから、SCP-XXXはKeterに格上げ申請され、即刻受諾された
補遺2: インタビュー-XXX-13
対象: D-18332-JP
インタビュアー:█████博士
付記:** D-18332-JPはSCP-XXX-JP-01を発症していて、博士は発症していない
<録音開始, (2000/08/17)>
インタビュアー: こんにちはD-18332-JP。
D-18332-JP: やあ、この物語のわき役の博士。
インタビュアー: そうだね、君にとっては確かにそうかもしれない。ではさっそく、君の認識した世界について教えてくれるかな?
D-18332-JP: …まあ…いいだろう。俺はこの物語は大方気に入っているからな。
D-18332-JP: まず、俺の本来の世界自体はこことそんなに変わりない。ただ一つ違うのは、博士が呼ぶ「現実世界」ってやつを組んで、自分自身が飛び込んでシミュレーションできるってことだ
インタビュアー: なるほど。つまりこの世界はそのシミュレーションの一つにしか過ぎないんだね?
D-18332-JP: そうだな。だから俺はこの世界のいつの時点であっても元の世界に戻れる。で、だ。おそらく博士たちにとってはとっても重要なことなんだが…(くくっと笑う)俺はいつでもシミュレーションの物語を自由に創作、というよりは修正できる立場にあるんだ
インタビュアー: …ほう。つまり、君は現実世界のものを消したり変えたりという干渉ができるのだね?
D-18332-JP: その通りだ。
インタビュアー: なるほど、それは興味深い。しかし、私は思うのだが、その改変を私には認識することはできない、そうだろう?つまり…
D-18332-JP: 改変前の状態のことを改変後世界の博士は知ることはできないはず、そういうことを言っているのだろう?
インタビュアー: その通りだ。頭の回転が速くて助かるね。
D-18332-JP: まあこればかりは博士の言う通りだ。通常の手段では認識できないな。…だが、ある手段を使えば、博士、あなたにだけ知る方法はあるんだよ。
インタビュアー: …。興味深いじゃないか。聞かせてもらおう。
D-18332-JP: [削除済み]を[削除済み]として考えてみてくれ。そして[削除済み]としての性質を持つ[削除済み]を[削除済み]として捉えると、その間に[削除済み]のようなものができる。その間を[削除済み]してみろ。
インタビュアー: このインタビューは…中止しない。
D-18332-JP: いいねえ博士。そういうプレイングも嫌いじゃない。
インタビュアー: 私はお前が███████をこの世界から消滅させたことを唯一知っている人間だ。
D-18332-JP: そうだな。それ以上の言葉はあっちで話したし、そしてこっちにわざわざ記録しても意味がないもんじゃないのかい?博士
インタビュアー: …インタビューを終わる
<録音終了, (2000/08/17)>
終了報告書: 直後█████博士はSCP-XXX-JP-01を発症し、D-18332-jpと同じ架空世界を持つことが分かった。またこの録音の削除済み部分を聞いた者も同様であった。
補遺3: SCP-XXX-JP-01のSCP関係者以外での発症報告
報告者:█████研究員
日本の██県██村にて8歳の少女、11歳の少年、12歳の少年がそれぞれ年齢にしては異様な知識量と発達した精神年齢をもつことが発覚した。調査の結果、SCP-XXX-JP-01の発症が発覚、聞き取り調査によって記憶処理を施されて退職した元SCP-XXX-JP-01発症者であるエージェント・██████と同じ架空世界を全員がもつことが判明。即座にエージェント・██████を捜索したが、現実世界にはもういないとの少年達の証言通り、見つかることはなかった。