CheshireCheese

SCP-082-JP "イッツ・ア・スモールワールド"

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-082-JP-C1~C6はセクター-8192の居住区画B-2、B-3に収容されています。担当職員は彼らの言動を観察し、SCP-082-JP-αからの指示遂行に必要であると思われる物品の供与を決定して下さい。グループに何らかの理由で欠員が発生し、異常性が失われた場合、レベルC記憶処理を施した後に別紙の手順に従って処理して下さい。

SCP-082-JPはセクター-8192の標準金庫A-8901に保管されています。現在収容中のグループが異常性を失った際は、A-8901の内容物を確認し、通常と異なる反応が見られた場合はサイト管理者に連絡して下さい。そうでない場合はA-8901の割り当てを解放します。

説明: SCP-082-JPはB6サイズの便箋で、以下の文章がインク書きで記されています。

拝啓

(この手紙は社会実験の正確性のため無作為に配達されています!)
突然のお手紙に驚かれたことでしょう!我輩は並盛大学の蕎麦と申します、しがない学者でございます。これは情報の伝達理論に関するささやかな実験でございます!
もし貴方が並盛大学蕎麦研究室の病井君をご存知であれば、彼に宛ててこの手紙を発送して下さい!ご存知でなければ、彼を知ってそうなご友人に手紙を渡して下さい!
社会科学の貴重な実験に手を貸して頂けることを感謝します!この功績は、必ずや報われるでしょう!

敬具

SCP-082-JPは不明な発送元から、日本語で文面を理解できる人物のもとに発送されます。手紙を受け取った人物はこれを興味深い実験であると考え、数日以内に知人に宛てて手紙を発送します。普段はこのような調査に協力したがらない人物も、手紙の影響力から逃れることはできません。

手紙が最初に受け取った人物を含めて6人の手に渡った瞬間、この6人は自分たち以外の人間を知覚できなくなります。彼らはパニックに陥って手当たり次第に知人と連絡・接触を図り、数週間~数ヶ月をかけて6人で集団行動を取り始めます。この時点で彼らには外部から命令を下す存在(SCP-082-JP-αと呼称)が知覚されるようになります。SCP-082-JP-αは声あるいは意思だけの存在であり、グループのメンバーに対し「直接、脳内に語りかけてくる」形で接触、彼らを苦境から救う代わりに様々な行動を取るよう指示します。指示の内容は単純なクイズを行わせるものから、特定メンバーに対する拷問を含む残酷な指示まで様々です。何らかの原因でグループに欠員が出た場合、その時点で残りのメンバーは通常の認識能力を取り戻し、SCP-082-JP-αからの指示もなくなります。SCP-082-JPは所有者の手元から消失し、数週間~数年後に再び発送されます。

財団が現在収容しているグループは、確認されている内3つ目のグループです。以前の2グループは、いずれも一部メンバーによる他メンバーの殺害によりSCP-082-JPの影響から脱しました。この殺害がSCP-082-JP-αの指示によるものかどうか、確かな結論は出ていません。

補遺: SCP-082-JP-αからの指示によると思われるグループの行動の記録

日付2███/██/██

12:11:02: SCP-082-JP-B5が木製の鉛筆が指示の遂行に必要であると発言。担当職員により数本が支給される。

12:20:11: SCP-082-JP-B5は鉛筆を一本3つに折り、「どれが一番長い?」と他のメンバーに尋ねる。

12:22:58: SCP-082-JP-B2は一番長い破片を選び、残りのメンバーは一番短い破片を選ぶ(後にSCP-082-JP-B2以外のメンバーは故意に一番短い破片を選ぶよう、SCP-082-JP-αに指示されていたことがわかった)。

12:43:08: SCP-082-JP-B5は全ての鉛筆で同様のクイズを行った。SCP-082-JP-B2は3回めの試行から、他のメンバーと同じように一番短い破片を選択し続けた。

12:45:18: SCP-082-JP-B2は腑に落ちない表情で鉛筆の破片を確認している。

日付2███/██/██

09:43:33: SCP-082-JP-B2が爪切りが指示の遂行に必要であると発言。担当職員により支給される。

10:04:23: SCP-082-JP-B2はSCP-082-JP-B5を呼びつけ、彼の右手親指(爪ではない)を爪切りの刃で挟み、圧迫した。

10:05:48: SCP-082-JP-B2は徐々に圧迫を強める。SCP-082-JP-B5は不安そうな呻き声を上げている。

10:07:21: SCP-082-JP-B5が「痛くてたまらない、もう止めてくれ」と発言。SCP-082-JP-B2はこれを無視した。

10:08:22: SCP-082-JP-B5は泣き叫び、指が落ちてしまうと訴える。SCP-082-JP-B2はこれを無視した。

10:13:38: SCP-082-JP-B2は突如圧迫を止め、青ざめた表情で自室に戻った。SCP-082-JP-B5は気絶しており、右手の怪我は担当職員の手当により二週間で治癒した。

日付2███/██/██

01:03:54: SCP-082-JP-B5が拳銃が指示の遂行に必要であると発言。区画長の判断により、拳銃は供与されなかった。

01:14:03: SCP-082-JP-B5が「続けるべきだ」「続行しなくては」と呟きながら、隠し持っていた鉛筆の破片で就寝中のSCP-082-JP-B7の首を十数回突き刺す。

01:16:02: 警備職員数名が突入。SCP-082-JP-B5はこの時点で職員を知覚できていたと思われるが、特別な反応は見られず。

01:17:04: 錯乱状態のSCP-082-JP-B5は職員の制止を振り切り、「6人いれば十分だ!」と叫びながら壁に頭部を叩きつけ即死した。

最後の記録の後、グループBは異常性を消失。残る4名は記憶処理を施された後に解放されました。