アイテム番号: SCP-541-JP
オブジェクトクラス: Safe Euclid
特別収容プロトコル: SCP-541-JPはサイト-81██の人型オブジェクト収容房に収容されます。SCP-541-JPが負傷した際にすぐにわかるように、SCP-541-JPの服装は常に露出の多いものにされます。
20██/10/14追記: ██介護士がSCP-541-JPの担当として配属されました(補遺:実験541-JP-1参照)。1週間に1度██介護士と当直監視官による看護カンファレンスが行われます。
説明: SCP-541-JPは60代の日本人女性のように見えますが、幼児退行の症状が顕著で、その精神年齢はおよそ6歳と推測されます。また、SCP-541-JPは外部とのコミュニケーションを非常に嫌い、ほとんどの場合において「うん」または「いや」以外の言動を見せません。SCP-541-JPは原因不明の片麻痺の状態にあり、頭部より下は一切動かすことができません。また、SCP-541-JPは食事及び排泄を必要としないようです。SCP-541-JPはこれらを必要とするようになりました。(補遺:実験541-JP-1参照)
SCP-541-JPが現在の収容状態に至るまでの経緯は不明です。SCP-541-JPのDNAは財団のデータベースにあるあらゆる人物のものとも一致せず、またSCP-541-JPと一親等の関係にあると思われるDNAも存在しませんでした。二親等の関係にあると思われるDNAを持つ人物が4名存在しましたがいずれも既に死亡しており、SCP-541-JPはこれについて黙秘を続けているため彼らとの関係性は不明です。
SCP-541-JPの異常性はその被害妄想にあります。SCP-541-JPは時折、暴力を振るわれたと訴えることがあり、実際に擦り傷、内出血、やけどなどの怪我を負うことがありますが、いかなる監視記録にも何者かがSCP-541-JPに暴力を振るったという記録はありません。SCP-541-JPが自傷行為に及ぶことができないという点、明らかにプラシーボ効果の範疇を超えているという点から、SCP-541-JPがSCPオブジェクトに指定されるに至りました。これらの怪我はいずれも軽度のもので、SCP-541-JPの生命を脅かすものではなく、また治療をしていないのにも関わらず適切な処置を行った時と同じ程度の速さで治癒します。数年に一度SCP-541-JPの首に赤い手形が浮き上がり、呼吸困難を訴えることがありますが数秒から数十秒以内に手形とその症状はなくなります。この症状が現れてから数ヶ月の間は異常な被害妄想が発現しなくなります。また、SCP-541-JPは時折、「次はほうっておいてもいいよ」「いかないで」等の独り言を発することがあります。
補遺 実験541-JP-1: SCP-541-JPへの介護の記録が全くないことから、SCP-541-JPは食事、排泄をしないものだと考えられていましたが、SCP-541-JPに栄養失調の兆候、及び排泄物による衣服の汚れが見られるようになったことから、SCP-541-JPは介護を必要とするようになったと判断されました。現在、██介護士がSCP-541-JPの介護を担当していますが、20██/10/14に██介護士がSCP-541-JPの担当となってから、SCP-541-JPが新たな特異性を発現したために、██介護士による介護記録は「実験541-JP-1」として記録されます。
実験記録541-JP-1
20██/10/14: ██介護士がSCP-541-JPの担当介護士となりました。██介護士が収容室内でSCP-541-JPにその旨を伝えた直後に、原因不明の力により収容室への出入りが不可能となりました。収容室の壁の破壊の試みも失敗に終わりました。幸いにも、監視カメラとマイク及びアナウンススピーカーは、ある程度のノイズを発するものの、内部とのコミュニケーションを図る分には問題なく作動するため、今後の██介護士とのコミュニケーションはこれらを用いて行います。また、██介護士(以下、SCP-541-JP-1と呼称)に限定的な現実改変能力が付与されたことが判明しました。SCP-541-JP-1はSCP-541-JPの介護に必要な物品(主に食事、おむつの替えなど)を任意に出現させること、使用済みおむつなどの廃棄物を消滅させることが可能です。未発見の特異性がある可能性があるため、SCP-541-JPのオブジェクトクラスの改訂が申請されました。申請は受理されました。
20██/10/16: SCP-541-JP-1が収容室に閉じ込められてから2日が経過しましたが、SCP-541-JP-1は空腹の兆候及び排泄行為を行う欲求を見せないため、SCP-541-JP-1はこれらを必要としなくなったと判断されました。またSCP-541-JP-1はSCP-541-JP案件への配属前にSCP-541-JPに対し過度に親切にすることがないようにと注意を受けていたにもかかわらず、SCP-541-JPに対して明らかに財団職員として不適切なほど慈しみの念を持って接しています。アナウンスにより再三注意はしていますが、SCP-541-JP-1のこのような態度に改善が見られません。SCP-541-JPによるミーム的効果だと推測されます。
20██/11/25: SCP-541-JP-1のストレスレベルが上昇傾向にあります。原因は収容室内への監禁状態にあると考えられます。時折SCP-541-JPに対し衝動的に暴言を吐くことがあるため、SCP-541-JP-1への1日30分のカウンセリングの時間が設けられます。
20██/2/11: SCP-541-JP-1によるSCP-541-JPへの暴力が確認されました。アナウンスによる制止によりSCP-541-JP-1は平静さを取り戻し、SCP-541-JPに何度も謝罪した後治療を行う様子が確認されました。カウンセリングの時間を1日1時間にすることが決定されました。
実験541-JP-1は現在も進行中です。新たに特筆すべき事項があれば随時追記してください。
以下はSCP-541-JP研究主任である門倉博士から20██/4/5に提出されたオブジェクトクラス改訂申請書です。
SCP-541-JPの報告書には多くの疑問点があります。収容の経緯が不明であるということ、一親等の人物が存在しないのにも関わらず二親等の人物が存在すること、何の脈絡もなく突然新たな特異性を発現したことなど、挙げればきりがありません。事実なのだから仕方がないと言われてしまえばそれまでなのですが、よしんばそうだとしてもどうしても私には納得のいかない点があるのです。
SCP-541-JPについての説明に「SCP-541-JPの異常な被害妄想による怪我は治療せずとも治療したときと同程度の速さで治癒する」という旨の記述がありますが、そもそもなぜ「治療しない」という措置が取られたのでしょうか?小さな怪我であったとしても化膿する恐れがありますし、最悪の場合感染症を引き起こす可能性すらあります。抵抗力の低い老人であるならばなおのことです。なぜ我々はこれほど簡単なことを見過ごした穴だらけの収容を行ってきたのでしょうか?
そもそも、我々のSCP-541-JPの特異性についての見立ては本当に正しいのでしょうか?
本題です。私は実験541-JP-1により判明した事実から、SCP-541-JPの本質的な特異性について以下のような仮説を立てました。
- SCP-541-JPは何らかのタイミングでSCP-541-JP-1の存在をなかったことにする
- SCP-541-JPはその改変に伴うパラドックスの影響を一切受けない
この仮説を以てすれば、
SCP-541-JPを収容した人物が存在しないのにSCP-541-JPが収容されていること、
SCP-541-JPを出産した人物が存在しないのにSCP-541-JPが存在していること、
SCP-541-JPに暴力を振るった人物が存在しないのにSCP-541-JPが負傷したこと、
SCP-541-JPの怪我を治療した人物が存在しないのにその怪我が問題なく治癒したこと、
これらすべてに説明がつくのです。
被害妄想などでは、なかったのです。
SCP-541-JPと関わった人物がその度に消えていき、世界があたかも初めからそうだったかのように改変されていく。なくなってしまった世界の手がかりはSCP-541-JP本人にしか残されていない。そして気づいたときにはもう遅く、我々はSCP-541-JPのオブジェクトクラスがSafeに戻ってしまうのを指をくわえて見ているしかない。幾度とない歴史の改変、考えたくはないですがCKクラスシナリオのような大規模な改変を引き起こしてきた可能性すら否めません。
物的証拠は何一つありません。これらは推測の域を出ないものです。しかしながら、これらを考えすぎだと断ずるにはあまりにも辻褄が合いすぎるのです。もしもこの仮説が正しかった場合、我々の収容はほとんど意味をなしていないことになります。我々はSCP-541-JPを管理していると思い込んで、気づかぬ内に意味の無い生贄を捧げ続けてきたということになるのです。おそらくは何度も繰り返されてきたであろうこの発見を、我々は今度こそ「次」に伝えなければなりません。
私はここにSCP-541-JPのKeter指定を申請いたします。
サイト81██所属上級研究員 門倉 ██
現在、この申請についての慎重な議論がなされています。
アイテム番号: SCP-336-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-336-JPはサイト-81██最下階の30m×30m×15mの収容室の中央の床に固定されたアクリルケースの中に保存します。収容室内は常に赤外線カメラで監視してください。現在財団職員の収容室への立ち入りは一切認められません。これ以上のSCP-336-JPに関する実験は、SCP-336-JP-1への筆談によるインタビュー、もしくはSCP-336-JP-2へのインタビューのみ認められます。全てのSCP-336-JP-1は声帯摘出手術を施した上で財団所有の居住エリアに収容してください。
説明: SCP-336-JPは直径10.6cmの純銀製のリング状のオブジェクトです。純銀製にもかかわらず、SCP-336-JPには空気中の硫化ガスとの反応による変色が一切見られません。SCP-336-JPは活性化状態に入る事があります(以下この活性化状態を「瞬き」と呼びます)。瞬いている間、SCP-336-JPは淡い青色の光を発し、5℃程の温度上昇が見られます。最も長く瞬かなかった期間は12日間、1日に瞬いた回数は最高11回でした。最も短い瞬きは0.3秒でしたが、最も長い瞬きは6時間に及びました。瞬きの間隔、長さには規則性はないと思われます。
瞬いているSCP-336-JPは、それを中心とした半径12mの球内に体の一部または全部を侵入させた全ての人間にミーム的な影響を与えます(以下、影響を受けた人間をSCP-336-JP-1とします)。SCP-336-JP-1へのミーム汚染の治療の試みは全て失敗しています。現在█名のSCP-336-JP-1が財団によって収容されています。
SCP-336-JPは、サイト-81██で起きた事案の調査過程で発見されたものです(補遺1:事案336-JPを参照)。SCP-336-JPは、██県西部██山中腹の廃墟で発見されました。SCP-336-JPの起源は不明です。その後のSCP-336-JP-1への調査で以下の特徴が判明しました。
SCP-336-JP-1は悪意に対して嫌悪感を示す傾向にあります(ここでは、「不必要な害を周囲に与えようとする意思、または明確な信念なくルール違反だと認識していることをあえてしようとする意思」を「悪意」とします)。SCP-336-JP-1は悪意を伴った行為を目撃した時に不快感を示します。ですがこの不快感も常識の範囲内を逸脱しないものであり、もともと真面目な性格の人物が曝露した場合、大きな変化は見られませんでした。また、彼らは悪意か否かを見分けることができます。
SCP-336-JP-1は容姿、性別、年齢、経歴などによる差別をしません。極端な男性差別思想を持っていたDクラス職員をSCP-336-JPに曝露させたところ、彼女はその後一切差別と取れる発言をしなくなり、むしろ差別に対し些かの嫌悪感すら示すようになりました。またSCP-336-JP-1はヒトだけでなく、全てのヒューマノイドに対しヒトに対する時と同じように接します。
逆にSCP-336-JP-1は悪意のない行動に対して極めて寛容な態度を示します。たとえ他人の行為によってSCP-336-JP-1自身の命が危険にさらされるようなことがあっても、それに悪意がないならそれに対し抵抗、制止などの反応及び不快感を示しません。この特性が事案336-JPの原因になったと考えられます。
SCP-336-JP-1が発する言葉を直接聞いた人物はSCP-336-JP-1と同様の性質を示すようになります(以下、この人物をSCP-336-JP-2とします)。幸いにもSCP-336-JP-2にはミーム汚染を拡散させる能力は存在せず、SCP-336-JP-2へのミーム汚染の治療としてのクラスB記憶処理は有効でした。また、SCP-336-JP-1との筆談でのコミュニケーションでは感染しませんでした。
補遺1:事案336-JP 事案336-JPは、199█/█/█に発生した人型異常物体(当時SCP-███-JP 200█/█/██に死亡)の収容違反のことです。本来ならば小規模に留められたはずの収容違反でしたが、職員の対応が不可解なほどに消極的で、職員█人が死亡する事態になりました。調査の結果、プライベートで件の廃墟を訪れていた臼井研究員がSCP-336-JPに曝露しており、彼がミーム汚染の感染源となっていたことが明らかになりました。その後、臼井研究員と会話したすべての職員はクラスB記憶処理を受け、臼井研究員はSCP-336-JP-1の実例として収容されました。以下は事案発生当時人型異常物体の監視をしていた█研究員へのインタビューログです。インタビューは事案の3日後に行われました。
対象: █研究員
インタビュアー: エージェント██
<録音開始>
エージェント██: 今日ここに呼び出された理由はわかってるか?
█研究員: えっと…先日の収容違反の件ですよね。
エージェント██: そうだ。一応事実確認をするぞ。まず█:██に収容室で[編集済]とあるが、この報告は事実だな?
█研究員: はい。間違いありません。
エージェント██: じゃあ聞くが、お前はその時何をしていた?
█研究員: 何って…モニターで収容室の監視をしていました。
エージェント██: 何故その時点でスクランブルをかけなかったんだ?
█研究員: あれは単なる異常性の暴発でした。本人に職員をどうこうしようという意志は見られなかったので通常のプロトコルで対応しようと思いました。
エージェント██: もうすでにDクラスが2人死んでいるのにか?俺は過去の事故記録にも目を通したがこんなことは初めてだったはずだぞ?
█研究員: いえ、本人に我々をどうこう…
エージェント██: もういい、わかった。次の質問だ。…お前から見て奴に脱出の意志は見られたか?
█研究員: 異常性の暴発の直後には見られませんでしたが、収容室からの脱出が可能であると気付いた時からはありました。
エージェント██: █:██のことだな。…お前はここでもスクランブルをかけていないが、それは何故だ?
█研究員: 状況と、能力発動時のプロトコルの発動を██博士に報告するのを優先しました。
(██博士への報告直後に██博士から非常事態宣言が発令されています。)
エージェント██: (ため息)わかった。これでインタビューは終わりだ。最後に一つ聞くが、奴がここから出ちまうというそれだけで一般人に被害が及ぶという認識はあったか?
█研究員: それの何がいけないんですか?
<録音終了>
終了報告書: 1ヶ月前までの█研究員の勤務態度から見ても明らかに不自然だ。重篤なミーム汚染の可能性がある。専門調査チームの派遣を要請する。 - エージェント██
補遺2: 201█/9/21~9/23にSCP-336-JPが35時間の間弱く暗い赤色の光を発しているのが確認されました。その間SCP-336-JPには20℃程の温度低下が見られました。この効果は現在調査中ですが、これ以降一度もこのようなことが発生しておらず、また、この件以降数人のSCP-336-JP-1がつじつまの合わない言動を繰り返すため調査は難航しています。
201█/10/1 追記: 201█/9/30に行われたSCP-336-JP-1の居住エリアの定期巡回で、以下のようなメモが発見されました。
かえせってなんだよしらないそんなこと
非常に乱雑な文字であったため筆跡による特定ができず、また全てのSCP-336-JP-1がこのメモのことを知らないと証言しています。そのため誰がこのメモを書いたのかは不明です。
201█/10/24 追記: SCP-336-JP-1の居住エリアでの備品の破損が相次いでいます。内█件はSCP-336-JP-1の収容違反に繋がりかねないものでした。この件はSCP-336-JPが赤い光を発した件と並行して調査中です。現在、SCP-336-JP-1の居住エリアの監視強化が申請されています。