かいじゅうたちのいるところ
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scp-xxx-jp.jpg

営業当時のSCP-XXX-JP-A店内

アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: 回収されたSCP-XXX-JP-1記憶媒体は市販用DVD-ROM 228枚、ダビングされたDVD-R 3枚、映像データを内蔵したハードディスク 2基がサイト-81██の低危険度物品収容ロッカーに保管されています。SCP-XXX-JP担当エージェントによる未収容記憶媒体の捜索は継続しています。ウェブ上でのSCP-XXX-JP-1への言及、映像のアップロード等は自動検索エンジンによって常時監視されます。発見された場合速やかに削除し、関係者を特定、確保して記憶処理を行ってください。
SCP-XXX-JP-1の直接的視聴を伴う実験は現在凍結されています。調査のために視聴する際はカメラによる再生画面の撮影を通し、別室で視聴を行ってください。SCP-XXX-JP-2が直接視認されるインシデントが発生した場合、曝露者の迅速なクラスC記憶処理または終了措置によって異常現象の発生を阻止してください。
SCP-XXX-JP-Aは内部に設置したカメラで常時監視されています。職員は毎月██日に直接の巡回を行い、建物の内外に異常が無いことを確認してください。

説明: SCP-XXX-JPは2004年に撮影、制作されたオリジナルビデオ映画"██████ ███"の本編映像(SCP-XXX-JP-1)に登場する架空の料理店、"Gatto Selvatico"(SCP-XXX-JP-2)に関連する異常現象です。

SCP-XXX-JP-1を視聴し、劇中の舞台背景としてSCP-XXX-JP-2が登場する場面を視認した人間(以下『曝露者』)はこの料理店に関する何らかの設定情報1を無意識的に考え出します。曝露者は自身が考えた設定情報を他者に教えようとする欲求を覚え、発話、筆記、ウェブへの情報発信といったあらゆる手段を用いて伝達を試みます。この試みは一般的な拘束手段で阻止可能であり、また曝露後およそ8時間が経過すると曝露者は沈静化し欲求は最終的に消滅しますが、沈静化が始まる前に設定情報を他人に伝達することが出来たと自身の主観で認識した場合、曝露者は瞬時に消失します。同時に曝露者によって創造された設定情報は新たな人物や料理、[データ削除]の登場、登場人物の会話による説明、店内内装の変化、設定を暗示する描写の追加などの形で映像に反映されます。反映による映像の変化は収容された複数の記憶媒体中のSCP-XXX-JP-1で同時に観測されることから、存在する全ての記憶媒体に同時に伝播すると考えられます。

制作が行われた当時の記録から、SCP-XXX-JP-1の当初の再生時間は約73分であり、SCP-XXX-JP-2が舞台背景として登場する時間は最長でも30秒未満であったと考えられています。SCP-XXX-JPの特性による新たな映像の生成により、201█/██/█現在、SCP-XXX-JP-2を舞台とする場面は合計14時間を超える長大な映像となっています。再生時間とビットレートから概算されるSCP-XXX-JP-1のデータサイズは一般的なDVDのデータ容量と矛盾しますが、VHSを含めたより低容量の映像記憶媒体への複製は問題なく行われ、映像全編の再生が可能となります。

SCP-XXX-JP-1を再生するモニター画面を二次的に記録した映像、写真およびスケッチは異常性を有しませんが、オリジナルのSCP-XXX-JP-1を直接複製した映像は同様の異常性を保持しています。音声を再生しない場合でも、SCP-XXX-JP-2を視認し「料理店が映っている」と認識した視聴者は異常特性に曝露するようです。

映像中のSCP-XXX-JP-2の店内には曝露者の知人、著名人、歴史上の人物、[データ削除]などオリジナルの出演者ではない███人の人物が登場しますが、実在する存命中の人間が映像に登場しても本人に対しての影響は無いようです。消失した曝露者自身が映像に登場する、または登場した人物によって言及される例は未だ確認されていません。SCP-XXX-JP-2店内シーンの終了直前において、オリジナルの登場人物によりジョークとして「この店の壁には死体が塗り込められている」旨の会話が行われます。この際言及される死体の数はSCP-XXX-JPの異常特性により消失した曝露者の人数と対応していると考えられています。

SCP-XXX-JPは「どうでもいいレストランのシーンが長すぎる映画」の噂を調査したエージェントにより201█/██/█に発見されました。カバーストーリー「映像中の不適切な表現」の適用によって収録されている市販用DVD-ROMは回収され、インターネット上の映画配信サービスから削除されました。SCP-XXX-JP-1の制作を行った映像制作会社"[編集済]"は2009年に解散しており、事件記録との照会から監督、脚本家、キャスト、制作会社社員を含む11名の関係者が行方不明となっていることが判明しました。前述の映像中の会話内容から、現在までにSCP-XXX-JPにより消失した人間は最大███名に上ると見られます。

補遺: ██県███市に立地し現在も営業中の喫茶店"[編集済]"内装が映像中のSCP-XXX-JP-2に酷似していたことから調査が行われ、店内にて無許可で撮影が行われたことが判明しました。現地調査および店内で行われた実験の結果、SCP-XXX-JP-2のモデルとなったこの喫茶店自体は異常性を有さないことが確認されています。事件記録2014/11/18を参照してください。

事件記録2014/11/18: 喫茶店"[編集済]"店内の内壁の一部が突発的に崩落し、内部から成人男性3名、成人女性1名の遺体が発見されました。身元調査の結果、いずれも2009年に行方不明となった映画"██████ ███"の撮影スタッフおよびキャストであることが判明しました。事件現場の状況は店舗の完成当時から壁内に遺体が押し込められていた事を示していますが、建築工事の時期と行方不明者の失踪時期は明確に矛盾しています。事件に伴い実施されたSCP-XXX-JP-1の内容確認作業において、上述のオリジナルの登場人物が話す「壁に塗り込められている死体の数」が4人分減少していることが確認されました。喫茶店は経営者の判断で閉店し、土地と店舗は財団フロント企業によって購入されました。店舗はSCP-XXX-JP-Aに指定され、新たな遺体の出現に備えて監視が継続されています。201█/██/█現在、同様の事例の再発は報告されていません。