突然だが今からとびっきり恐ろしい存在や不可思議な存在を頭の中で想像して思い浮かべてみてくれ。
どうだ?どんなものを思い浮かべた?
きっとそれはさぞお前にとって恐ろしいものか不可思議なものなんだろうな。
だが、それは果たして想像上のものか?存在しないと言い切れるか?
結論から言おう。君の想像したものは実在する。これは真実で、揺るがない答えだ。
そもそも、人間の思いつくものなんて既にどこかに存在するものだ。証明してみようか?なら今から適当に考えてみよう。
例えば……とびっきり凶暴な不死身のトカゲとかはどうだ?
驚いたか?おとぎ話かはたまた現実か……どうやら存在しているみたいだな。
世界が2度目か何度目かのやり直しの上で成り立ってるかもしれない。もしかしたら、お前のいる星すらかつて人間のいた星であるとは限らない。
存在しているから考え付くのか、考え付くから存在が生まれるのかは問題じゃない。
あらゆる可能性が事実として存在しているんだ。俺たちが考えたものならそれに対応できない道理は無い。
仮に俺が今言ったものや、お前が思い浮かべた存在が現れたとしても、決して臆するな。
そいつらは俺たちが乗り越えるべきものだからだ。思い浮かべることができるなら、乗り越えることもできる。
例え人類が死に絶えようとも……。
だから、お前は最期の瞬間まで諦めるな。投げ出すな。理解し、対処しろ。
『確保、収容、保護』
決して忘れるなよ。立ち向かえるのは俺たちだけだ。
「――――知ってるよ。そんなことは」
だれかが古びた手紙をそっとポケットにしまうと、荒れ果てた廃墟を後にした。