アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは、サイト-8181の専用に改造された人型生物収容室に収容されています。室内には窓や家具・その他の物品は設置されず、全ての壁面とドアから半径3m内の床面には、10cmおきに直径1cm、深さ5cmの円形の窪みが設置されます。SCP-XXX-JPには給餌の必要はありません。
収容違反発生の際は要請に応じて再収容のための人員が派遣されますが、SCP-XXX-JPは移動速度が遅く直接的な殺傷能力も持たないので、付近に十分な人数の職員がいるなら現場の判断で追跡を行っても構いません。その際はSCP-XXX-JPの足跡を踏まないように注意した上で、SCP-XXX-JPの人間から逃げようとする性質を利用して収容室内へ戻るように誘導してください。
もし何らかの事故によってSCP-XXX-JP-Aが発生した場合は、別記の手順に従いDクラス職員を使用して元通りになるよう「交換現象」を起こしてください。この際、SCP-XXX-JP-Aおよび使用するDクラス職員はともに拘束しておくことを推奨します。
説明: SCP-XXX-JPは、その特性から何らかの実体を備えていると推測される物体です。SCP-XXX-JPの存在は、地面もしくは床に(特殊な状況下では壁などにも)残される足跡によってのみ認識可能で、直接の感知および接触の試みは現在のところ成功していません。SCP-XXX-JPの足跡は通常、約4km/h1で移動しますが、状況によっては最高で約7km/h2まで上昇します。この足跡は裸足の人間のもので、直近のSCP-XXX-JP-Aが後述の「交換現象」を起こす前の肉体のものと一致しています。また足跡はそれが残される物体の材質に関わらず、深さ3cm程度の窪みという形状で現れますが、通常は直近の10歩分までしか残されず3、それ以前のものは消滅し元の状態に戻ります。この足跡が出現するにはある程度平坦な面が必要であり、足跡の深さである3cmを上回る凹凸が存在する場所には出現しないことが判明しています。また、足跡ごとの間隔は最大でも約140cm4であり、人間の「走行」や「跳躍」にあたるような移動のしかたは出来ないものと思われます。
SCP-XXX-JPの足跡に人間が足底部(裸足か何かを着用した状態かを問わず)を接触させると、その人間(以後SCP-XXX-JP-Aと呼称)の肉体は別の人間のものに変化します。この時変化する肉体は、直近のSCP-XXX-JP-Aの変化前のものと遺伝子レベルで一致しています。また、変化するのは肉体だけであり、記憶および精神は(脳も変化しているにも関わらず)元のままであることが詳細な精神鑑定の結果判明しています。この「交換現象」は同じ人間が連続して起こすことは出来ず、足跡に触れても何も起こりませんが、別の人間が足跡に触れて変化し新たなSCP-XXX-JP-Aとなった後であれば、それ以前のSCP-XXX-JP-Aは再び(現在の肉体と新たにSCP-XXX-JPが「保持」した肉体との間で)「交換現象」を起こすことが可能になります。
SCP-XXX-JPは類人猿並の思考能力を持っていると推測されますが、普通の動物が持つような情動を示すことはなく、機械的なルーチンに従って行動しているようにも見えます。人間に対しては警戒的な反応を示し、極力避けるように動こうとします。また人間の言語を理解している様子はなく、意思の疎通も様々な方法で試みられたものの成果はありませんでした。
SCP-XXX-JPの移動は他の物体を透過するような特性は持たず、密閉された空間からの脱出は不可能である、と考えられていましたが、後述の事件記録による収容違反および再収容までの経緯を受けて、特別収容プロトコルが現行のものに変更されました。
SCP-XXX-JPは██県██市の市道において「舗装道路にも関わらず付いたり消えたりする足跡」の噂に興味を持ったエージェント█████によって発見され、コンテナに収容され財団サイトに輸送されました。その過程で収容違反を起こさなかったのはコンテナの壁が波型であったためではないかと推測されていますが、収容違反を完全に防げる形状ではなく、詳細は不明です。初期収容時点での直近のSCP-XXX-JP-A(SCP-XXX-JPが「保持」していた肉体の本来の持ち主)は調査により身元が判明したものの既に行方不明であったため、それ以前のSCP-XXX-JP-Aの特定は困難となっています。
実験記録001-1 - 20██/██/██
対象: D-XXX-JP-1
備考: SCP-XXX-JPの足跡を踏ませる。
結果: D-XXX-JP-1の肉体が直近の被害者と思われる人間のものに変化。SCP-XXX-JPの足跡もD-XXX-JP-1の元の肉体のそれに変化した。実験記録001-2 - 20██/██/██
対象: SCP-XXX-JP-A-1(D-XXX-JP-1)、D-XXX-JP-2
備考: SCP-XXX-JP-A-1に再び足跡を踏ませる。その後、D-XXX-JP-2にも足跡を踏ませる。
結果: SCP-XXX-JP-A-1が足跡を踏んでも何も起こらなかった。次にD-XXX-JP-2が足跡を踏むと、その肉体はD-XXX-JP-1の(元の)肉体に変化した。実験記録001-3 - 20██/██/██
対象: SCP-XXX-JP-A-1(D-XXX-JP-1)、SCP-XXX-JP-A-2(D-XXX-JP-2)
備考: 対象の肉体をそれぞれ元に戻す。
結果: 何度かの「交換現象」を経て、D-XXX-JP-1、D-XXX-JP-2ともに元の肉体に戻った。その後の身体検査、精神鑑定においても異常が見られなかったため、Dクラス職員として再雇用。
分析: 方法としては何も難しくはないが、2人を元に戻すだけでも結構手間だな。多人数が被害に遭うとかなり面倒なことになりかねん。
事件記録XXX-JP-1 - 20██/██/██
12:18 SCP-XXX-JPの「歩行」速度が徐々に上昇し始め、7km/hに達する。
14:27 SCP-XXX-JPが収容室の床ではなく壁に足跡を作り始める。
14:33 壁の足跡が2箇所に連続して作られ始める。「一歩」ごとにそれぞれの足跡の深さが増加していき、約30秒で40cmの防音壁を貫通、SCP-XXX-JPが収容室外に脱出する。
14:35 収容違反報告を受けて研究員およびエージェント█名がSCP-XXX-JPの捜索を始める。
14:44 ███博士が足跡を発見、駆けつけた他職員によって収容室へ向けて誘導を開始。
14:41 誘導中、██研究員が誤って足跡を踏みSCP-XXX-JP-Aとなるが、SCP-XXX-JPを収容室内へ戻すことに成功。██研究員は所定の手順に従い元に戻された。