SCP-XXX-JP

概要

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「哲学的マクロカオシズムへの回帰」を掲げるナイアーラトテピズム・コミュニティ「リカオサイザーズ(Rechaosizers)」のシンボルマーク。キリスト教の三位一体・太極図・ベン図と思われる意匠が施されている。

巨大混沌思想/マクロカオシズム(Macrochaosism)は現代になって一気に栄え始めた宗教/思想であり、重ね合わせ主義/スーパーポジショニズム(Superpositionism)思想的逆説主義(Ideological Paradoxism)等様々な別称がある。最も中心的/代表的な教義は「全世界のあらゆる教義や思想は余すことなく真実である」というものであり、接触した全教義や全思想を教義に組み込もうとしている。習合的ディスコーディアニズム(Discordianisme Syncrétiste)と似ているが、パロディ宗教、つまり宗教への皮肉としてではなくれっきとした1信仰として存在している。また、マクロカオシズムは時として習合的ディスコーディアニズムさえも内包する。加えて、習合的ディスコーディアニズムと異なり習合の際に矛盾が起きないよう教義を改変することがなく、二重思考を多々用いることで矛盾に満ちたカオスな概念体系を形成している。しかしながら、純マクロカオシスト(Pure Macrochaosist)以外のマクロカオシスト、不完全者(Imperfectian)は、適当に教義を取捨選択して自身の行為を正当化するなど、正しい有り様からかけ離れた形でマクロカオシズムを掲げている。純マクロカオシストの多くはこの事実を知っているが、それを堕落であると同時にあるべき姿であると思っており、然程気にしていない場合が殆どである。

マクロカオシズムの習合対象は幅広く、宗教や民間信仰は勿論のこと、哲学的・社会的・倫理的思想や、既存の科学、フィクション作品に登場する現実ではあり得ないような思想など、思想であればあらゆるものを吸収していく。また、日々の生活で生まれる感情的で完成度の低い思考も全て取り込んでいく為、マクロカオシズムはマクロカオシストがいる限り無限に成長していく。この為にはかなり膨大な情報量をまとめ記憶する必要があり、ある時は機械的=壊れた神の教会(Church of the Broken God)的/肉体的=サーキシズム(Sarkicism)的に自身を改造したり、ある時は各分野の専門家が勢揃いした集団を作ったりしてこの思想を成長させてきた。しかしその結果は彼らの求めるものとは程遠く、また多くの場合異端として弾圧されてしまった為に道半ばで潰えてしまっていた(その歴史的資料も幾つか発見されている)。だが、現代になって思想の自由が認められたこと、ビッグデータを扱うことができるように科学技術が発展したこと、生活が豊かになり哲学的思考がよりしやすくなったこと等から、各地で一気にマクロカオシズム運動が活発化していった。これを(2000年代の)大膨張と呼称する。

この流れで異常オブジェクトが多数確認されたこと、マクロカオシズムに異常な信仰や要注意団体の信仰が含まれる場合があったことから、財団および世界オカルト連合(Global Occult Coalition)はマクロカオシズム、特に異常な側面を持つマクロカオシズムであるネオ-マクロカオシズム(Neo-Macrochaosism)の取り締まりに踏み切った。現在はネオ-マクロカオシズムの情報は徹底的に制限され、マクロカオシズム全体も規制の余波を受け衰退していった。現在、ネオ-マクロカオシズム運動やその他のマクロカオシズム運動は、各地に点在する小規模な団体によって行われており、過去に弾圧された時と同じように統一性がなくなってしまっている。

習合的ディスコーディアニズムそのものが異常性を有しているように、ネオ-マクロカオシズムそのものも何らかの異常性を有していると推測されている。しかしながら、ネオ-マクロカオシズム信奉者を捕らえる試みは失敗し続けており、ネオ-マクロカオシズムを強制的に信仰させる試みも、その難解さ・無秩序さから習合者を生み出す結果に終わっている。

マクロカオシズム、特にネオ-マクロカオシズムは多くの宗教関係者や思想家達などから否定的意見を持たれており、「過大混沌主義/メガロカオシズム(Megalochaosism)」という蔑称で呼ばれる場合がある。境界線イニシアチブ(The Horizon Initiative)とは明確に敵対しているが、マクロカオシズムらは1つの組織としてまとまっていない為基本的には攻撃される側である。しかし、その性質上敵対組織側から見た「メガロカオシズム」という概念も習合してしまうので、思想的には対処しようがない。
(R-00XR-00Xさんの提案より)

狭義のマクロカオシズムはアメリカやヨーロッパ等で興ったものを指し、主に宗教的な性質を帯びる。一方、重ね合わせ主義は科学的な思想が中心であり、比較的日本に多い。思想的逆説主義は哲学的な性質を帯び、主にフランスで栄えている為習合的ディスコーディアニズムと習合しやすい。

代表的なマクロカオシズム

古代マクロカオシズム(Ancient Macrochaosism)


大膨張以前に点々と存在したマクロカオシズムの総称。グノーシス主義やディスコーディアニズムの流れに影響されたヨーロッパ等で多く興ったようだが、それ以外の各地にもその痕跡が残る。多くは興って早々に異端として弾圧を受けた為、マクロカオシズムとしての程度は低いが、その人口を占める純マクロカオシストの割合は非常に高い。

ナイアーラトテピズム(Nyarlathotepism)


クトゥルフ神話の無貌の神ニャルラトホテプを象徴とするマクロカオシズム。インターネットを母体としており、大規模な思想統制によってマクロカオシズムが衰退した現在、確認されている中で最も人口が多いマクロカオシズムである。組織性は存在せず、インターネットを母体にしている状況から信奉者の大半が不完全者である。また、ゲーマーズ・アゲインスト・ウィード(Gamers Against Weed)のメンバーにもナイアーラトテピズム信奉者と思われる存在が確認されており、関連オブジェクトもいくつか発見されている。

リカオサイザーズ(Rechaosizers)

「哲学的マクロカオシズムへの回帰」を掲げる、ナイアーラトテピズム・コミュニティの1つ。ネオ-マクロカオシズム団体であり、主に布教や信仰実践の為に異常物品を使用する。COQO(後述)構成員も確認されており、インターネットを媒介にしたり、電子データであったりするオブジェクトが多い。規模は数百人程度。

真理主義(Truthism)/真理郷(Truthia)


不完全者で構成される「自称」マクロカオシズム団体。特徴的な理念として「この世において邪魔な思想を排除し、最も健全で最も崇高な真理を体現する」というものがあり、その為に「不要」「邪魔」と判断した思想・教義を排除しようとする。その実態は把握できていないが、マクロカオシズムを掲げる団体の中では最も組織的でありかつ最も過激な団体である。弾圧に対抗する目的からかネオ-マクロカオシズムの要素を多分に含む為、財団はこの団体に対して強く警戒している。
(R-00XR-00Xさんの提案より)

I.M.思想(Impermanent Macrochaosism)/カラーム派(Kalamism)


アメリカの思想家カビーア・カラーム(Kabir Kalam)が唱えたマクロカオシズム運動。仏教の無常観のような思想が特徴で、「この世の永遠の連続性」というものを唯一否定している。つまり、特定の概念の正当性は不定なものであり、ある時は正しくともある時は間違いであり、またある時は間違っていてもある時は正しい、というもの。一見すると比較的平和なマクロカオシズムに見えるが、この思想では科学の前提条件、ならびは財団の理念さえも否定されてしまう為、財団としてはあまり認められない立場にある。ただ、要注意団体の構成員にI.M.思想を有する人間は確認されるものの、I.M.思想そのものは今のところネオ-マクロカオシズムではないので、財団は要注意団体としてカラーム派を指定してはいない。比較的純マクロカオシストが多い。
(R-00XR-00Xさんの提案より)

量子的観測者の教会/COQO(Church of Quantum Observers)


明確にマクロカオシズムを掲げる団体の中では規模が大きい、ネオ-マクロカオシズムの団体(実際に掲げているのは「重ね合わせ主義」)。マクロカオシズムの教義の実践はかなり困難だが、量子的観測者の教会はこれを「現実の方に不都合がある」と解釈しており、現実や観測手段を量子的、即ちマクロカオシズム的に改変することを目的としている。科学的な思想を中心に据えた宗教である為か、壊れた神の教会、特にマクスウェリズム教会との習合が顕著である。現実改変者をはじめとする異常な人型実体が信奉者の大半を占める。
(WagnasCousinWagnasCousinさんの提案より)

小規模なマクロカオシズム

逆説的第五主義(Paradoxical Fifthism)/FIP(Fifth Ideological Paradoxism)


第五主義(Fifthism)から生まれたマクロカオシズム(厳密には「思想的逆説主義」)。詳細は不明だが、やはり星や五といったシンボルや異言は健在である。習合的ディスコーディアニズムと習合しているケースも多数確認されている。

無秩序なる肉(Chaos Flesh)


サーキシズムから生まれたマクロカオシズム。殆どの場合壊れた神の教会と習合しており、敵対組織との融和を図っていることから大抵の場合弾圧される。貴族的であるネオ-サーキシズム信奉者が多い。
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Safe Neutralized

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPの存在する公園は財団フロント企業「SC PROPERTIES INC.」により買収し、総合病院の工事現場に偽装しています。

SCP-XXX-JPは実験時を除いて開放し、常に2名以上の警備員によって許可無き侵入を防ぎます。SCP-XXX-JP-1には遠隔監視カメラをSCP-XXX-JPへ向けて設置し、定期的にDまたはCクラス職員によって電池交換や点検・修理を行います。SCP-XXX-JP-1への侵入にはセキュリティクリアランスレベル3職員2名以上の許可が必要です。

説明: SCP-XXX-JPは神奈川県██市の公園「なかよしひろば」の敷地内に設置された多目的トイレの扉です。内側には一般的な設備が存在し、SCP-XXX-JPや多目的トイレに異常な物理的耐性は存在しません。

インシデントXXX-JP(補遺2参照)以前、SCP-XXX-JPを通じて被験者が多目的トイレ内部へ侵入しようとすると、東京都の幽幻ホテル1本館で使用されていた蛇腹式エレベーターの内部に見える異空間(以下、SCP-XXX-JP-1)へ転移しました。SCP-XXX-JP-1内に存在する蛇腹式の扉や操作盤といったあらゆる物品は、全て高い物理的耐性を有しています。SCP-XXX-JP-1の地理的/平行宇宙的な座標を特定する試みは、現在まで全て失敗しています。

SCP-XXX-JP-1内部には、30代程度の日本人男性に見える人型実体(SCP-XXX-JP-2)が存在します。SCP-XXX-JP-2は幽幻ホテルで使用されていたエレベーターボーイの制服を着用しており、常にSCP-XXX-JP-1内の操作盤前で直立しています。

SCP-XXX-JP-1へ被験者が侵入した際、SCP-XXX-JP-2はSCP-XXX-JP-1内の扉を閉めた後、被験者へ「次の目的地はどちらでしょうか」と問いかけます。この時被験者が何も回答しなかった場合、SCP-XXX-JP-2は扉を開き、SCP-XXX-JPが一度閉じられるまで一切発言・行動をしません。被験者が何らかの回答をした場合、SCP-XXX-JP-2は「了解しました。では、[被験者の回答した目的地]までお連れ致します。」と発言した後、操作盤のボタンに触れます。直後、SCP-XXX-JP-1内部に衝撃が走りSCP-XXX-JP-1内の扉の外(以下、SCP-XXX-JP-3)の光景が昇降し、被験者は上昇感や下降感を覚えます(昇降イベント)。

昇降イベントから30秒~5分後、衝撃とともにSCP-XXX-JP-3の光景が変化し、被験者の下降/上昇感は消失します。その後、SCP-XXX-JP-1内部にベル音が響きSCP-XXX-JP-2は「到着しました、[日時]の[場所]でございます」と発言します。SCP-XXX-JP-2の発言した日時が過去や現在のものであった場合、SCP-XXX-JP-3の光景はその時点の、SCP-XXX-JP-2の発言した場所と概ね一致しています。SCP-XXX-JP-3の光景が変化してから約3分経過した際、SCP-XXX-JP-2は被験者へ「次の場所へ移動しますか?」と問いかけます。この時被験者が断った、若しくは何も回答しなかった場合、SCP-XXX-JP-2は約3分後同様の問いかけを行い、以降同様の行動を了承されるまで繰り返します。この問いかけを了承した場合、SCP-XXX-JP-2は「了解しました」と発言した後操作盤のボタンに触れ、再び昇降イベントを発生させます。SCP-XXX-JP-2は目的地の回答があった場合、1回の侵入につき3~8回の昇降イベントを発生させます。

各使用の最後の昇降イベント後、SCP-XXX-JP-3の光景は被験者が回答した目的地に変化します。この時、SCP-XXX-JP-2は被験者が移動を指示するまで一切発言しません。被験者から移動を指示された場合、SCP-XXX-JP-2は「了解しました」と発言した後操作盤のボタンに触れ、SCP-XXX-JP-1内部に衝撃が走りSCP-XXX-JP-3の光景が昇降、SCP-XXX-JPがSCP-XXX-JP-3に出現します。その後、SCP-XXX-JP-2は「本日は誠に、ご利用ありがとうございました」と発言して扉を開き、SCP-XXX-JPが閉じられるまで一切発言・行動をしなくなります。

補遺1: SCP-XXX-JP-2の顔や声は、20██/██/██に神奈川県██市にて発生した██ 美子氏(享年27)殺害事件の容疑者である、美子氏の夫██ 恵一郎(32)氏に酷似しています。警察の捜査によると、当時美子氏は娘である██ 恵美氏(享年7)に対して日常的な虐待を行っており、事件発生時は恵美氏の頭を湯を張ったバスタブに強引に沈めていました。帰宅してこれを発見した恵一郎氏は美子氏をバスタブから引きずり出しましたが、美子氏は拘束から脱し台所の包丁で恵一郎氏の殺害を試みました。結果、美子氏は包丁により失血死、恵美氏もバスタブにて溺死し、恵一郎氏はその場から逃走しました。現在まで恵一郎氏の行方は判明していません。

補遺2: 2018/██/██、被験者が侵入していないにも関わらずSCP-XXX-JPが閉まりました(インシデントXXX-JP)。約1時間後にSCP-XXX-JPが開いた為警備員が内部を確認したところ、多目的トイレの設備以外存在しませんでした。その後4回実験が行われ、いずれの実験でもSCP-XXX-JP-1への転移が発生しなかったことから、担当博士によりSCP-XXX-JPの無力化が宣言されました。
以下は、インシデントXXX-JP時に遠隔監視カメラによって記録された映像記録の内容です。


インシデントXXX-JPから13日後、██警察署に恵一郎氏が出頭しました。同氏は直後逮捕され、署内に潜入していた財団エージェントによる取り調べが行われましたが、SCP-XXX-JPに関する一切の記憶が消失していることが確認されました。勾留中に行われた健康診断の結果にも異常が見られなかったことから同氏はそのまま送検され、同年██/██に懲役11年の実刑判決を受けました。現在、同氏は██刑務所に拘留されています。