アイテム番号 :SCP-xxx-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPは、サイト-81██の小型収容用ロッカー内に、黒色のカバーで覆い隠した状態で保管されます。万一カバーが外れた、あるいは破損した場合に備え、SCP-xxx-JPは左右どちらかの側面をロッカーの扉側に向けておいてください。SCP-xxx-JPの実験に際し、SCP-xxx-JPを少しでも直接視認した可能性のある職員は、速やかにAクラス記憶処置を受けてください。SCP-xxx-JPの実験記録は、必ずビデオカメラから経由した映像、及び実験室内に設置したセンサから送信された情報に基づき作成してください。
説明: SCP-xxx-JPは、中空の円筒の内部に複数の円柱と角柱が幾何学的に配置された置物です。非破壊検査の結果、これらの円筒、円柱及び角柱は純銀製であることが判明していますが、銀の融点を大幅に超える温度で加熱しても融解せず、また降伏限界を超える力を加えても変形したり破損したりしません。円柱及び角柱の板面には、文字のようにも見える模様が刻まれています。
SCP-xxx-JPは、円柱及び角柱の板面が位置する面、すなわちオブジェクトの正面または背面から人間筆記具を扱える生物に視認されたときに、その特異性を発揮します。SCP-xxx-JPを正面または背面から視認した対象は、視認後に筆記具を手にした際、図形(以下、SCP-xxx-JP-A)を不定のタイミングで描画します。対象がSCP-xxx-JP-Aを描画するタイミングは、現在のところ最も早いケースで約5秒後、最も遅いケースでは13日後であることが確認されています。しかしながら、視認対象が同一であってもタイミングが異なるため、正確なタイミングや、視認と筆記具を手にすること以外の条件は不明なままです。
SCP-xxx-JP-Aが正確に描画されると、描画直後にSCP-xxx-JP-Aは激しく発光します。そして、発光が収まると、SCP-xxx-JP-Aからは何らかの生物存在が出現します。これまでに出現した生物存在については、実験記録を参照してください。現在のところ、一つのSCP-xxx-JP-Aが、再度の生物存在の発生を行った事例は確認されていません。
SCP-xxx-JP-Aは、描画さえ正確であれば、使用する筆記具や描画する素材にかかわらず効果を発揮します。線が途中で途切れたり歪んだりした場合、SCP-xxx-JP-Aは効果を発揮しません。
なお、対象がSCP-xxx-JP-Aを描画しようとする行為は、呼びかけや対象の身体への干渉によって容易に中断させることができますが、記憶処置を受けない限り、不定時間の経過後にSCP-xxx-JP-Aを再度描画します。SCP-xxx-JP-Aの描画を中断させようとする行為に対して、対象は特に抵抗を示すことはありません。
SCP-xxx-JPは、20██年██月██日に、██県██市の骨董コレクターである、██ ██氏の自宅から回収されました。██氏の自宅近く、及び勤務先の周辺において、「存在し得ない生き物が突然現れる、謎の現象が頻発している」、という噂を財団が調査を行った頃、噂の発生時期と██氏がSCP-xxx-JPを入手した時期が一致したことにより、回収に踏み切りました。SCP-xxx-JPを回収すると共に、██氏にAクラス記憶処置を施して解放したことにより、同様の現象は発生していません。
SCP-xxx-JPの異常性は、SCP-xxx-JPの回収に当たっていたエージェント██がサイト-81██に帰着後、██氏へのインタビューに使用していたメモ用紙に描画されていたSCP-xxx-JP-Aから、一匹のサンマ(Cololabis saira)が出現したことにより明らかになりました。このサンマと同時に出現した少量の水、及び胃の内容物を分析した結果、日本海に生息していたものと推測されています。このサンマは研究のためサイト81██内の実験用水槽で飼育されていましたが、20██年に死亡したため、処分されています。
以下は、事件後の██博士とエージェント██とのインタビューを記録したものです。
20██年██月██日
██博士: 「それでは、インタビューを始めますが、問題ないですね、エージェント██?」
エージェント██: 「あぁ、大丈夫だ。始めてくれ。」
██博士: 「(SCP-xxx-JP-Aが描かれたメモ用紙を見せながら)あなたは、SCP-xxx-JP-Aをメモ用紙に描画したことについて、覚えていないとのことですが。」
エージェント██: 「そうなんだ。そんな図形描いた記憶、全くないんだよ。それ以外の内容については、書き込んだ記憶がしっかりあるってのに。」
██博士: 「SCP-xxx-JPの回収時に、何か気付いたことは?」
エージェント██: 「そうだな…██氏が持って来たSCP-xxx-JPを見てると…歌が聞こえたんだ。なんというか、子供が歌う…そう、絵描き歌みたいなやつが。」
██博士: 「絵描き歌、ですか…」
エージェント██: 「SCP絡みじゃなけりゃ、気のせいなんだろうがな。」
██博士: 「気のせいではないでしょうね。その歌について、思い出せませんか?」
エージェント██: 「(20秒ほど、たどたどしく口ずさむ)…メロディはこんな感じ、だったと思う。歌詞は…出だしが"丸描いて その中、小さな丸描いて"、という感じだった気がするが…すまん、はっきりとは思い出せん。」
██博士: 「その絵描き歌のとおりにすれば、SCP-xxx-JP-Aが描ける、のかもしれませんね。何か思い出したら、報告をお願いします。」
エージェント██: 「わかったぜ。」
<記録終了>
以降の実験後、Aクラス記憶処置を施す前に、被験者であるDクラス職員にもインタビューを行いました。以下は、その記録の一部です。
20██年██月██日
██博士: 「D-xxx-JP-1、インタビューを開始します。」
D-xxx-JP-1: 「あ~…あの、スズメのことだよな?」
██博士: 「はい、そうです。今日の実験、置物を見てから、スズメが現れるまでの間に、何か聞こえませんでしたか?」
D-xxx-JP-1: 「そう言われてみりゃ…う~ん、何か、子供の歌が聞こえた、気がする。」
██博士: 「それは、どんな歌でした?」
D-xxx-JP-1: 「うろ覚えだが…(D-xxx-JP-1は、エージェント██と同じメロディを口ずさむ)…こんな感じだった、気がする」
██博士: 「歌詞はありませんでしたか?」
D-xxx-JP-1: 「そっちはなおのこと思い出せないんだが…あぁ、"小さな丸中[判別不能]二つ [判別不能]は皆繋げ"、って言ってたな。」
██博士: 「[判別不能]?…どういう意味ですか、それは?」
D-xxx-JP-1: 「どういう、って言われてもなぁ…俺にもわかんねぇよ。こんな言葉、聞いたことねぇし。」
██博士: 「そう、ですか。では、これでインタビューを終了します。」
<記録終了>
20██年██月██日
██博士: 「D-xxx-JP-5、インタビューを開始します。」
D-xxx-JP-5: 「…あああ、気持ち悪い。…まだ、なんか顔の上でアレがカサカサしてる気がするわ…。」
██博士: 「まぁその…ご愁傷様です。これが終わったら、好きなだけ洗顔していいですから。」
D-xxx-JP-5: 「うぅ…わかったわ。で、インタビューって何よ?」
██博士: 「あの置物を見てから、その…アレが出てくるまでの間に、何か聞こえましたか?」
D-xxx-JP-5: 「そうね、こんな感じの…(D-xxx-JP-5は、これまでと同じメロディを口ずさむ)…こんな歌が、変な感じだけど、頭の中に直接響いてきた気がするわ。」
██博士: 「歌詞は覚えていませんか?」
D-xxx-JP-5: 「え~っと…最後の方だけなら…"真ん中太陽、あっという間に"って言ってた気がするわ。」
██博士: 「あぁアレ、太陽だったんですね…あんな形状の太陽を想起する文化、ありましたっけ?」
D-xxx-JP-5: 「ね、ねぇ、もういいわよね?顔、洗わないと…洗わないと…あぁぁぁぁ!!」
██博士: 「え、は、はい!も、もういいですよ!…D-xxx-JP-5に記憶処置を」
<記録終了>
これまでのインタビューから判明している、SCP-xxx-JPの影響下で聞こえる歌の歌詞は、以下の通りです。但し、判明している歌詞を並べただけでは曲の時間より大幅に短く、またメロディに合致しないため、歌詞には欠落があると推測されます。
丸描いて その中、小さな丸描いて 小さな丸中[判別不能]二つ [判別不能]は皆繋げ
(三秒程度の歌詞があると推測される) 三角三角 紡げ六星 鏤(ちりば)め六星 綺羅綺羅光れ
[判別不能]は[判別不能] [判別不能]は[判別不能] (五秒程度の歌詞があると推測される)
四方なる三日月 互いに睨め 四方なる三日月 互いに星食め 空きたる空に 真ん中太陽
あっという間に (SCP-xxx-JP-Aの名称が歌われるものと思われる。)
補遺: 実験記録
実験記録xxx-JP-1
対象: ██博士
実施方法: 最初にSCP-xxx-JPの特異性が発現した状況を再現。同じ実験室、同じ時刻、同じ筆記具を用意し、SCP-xxx-JPをあらゆる角度から観察。観察中の実験室内は、監視カメラで撮影する。
結果: SCP-xxx-JPの観察開始から5分後に、██博士がメモ用紙にSCP-xxx-JP-Aを描画。直後にSCP-xxx-JP-Aから、三匹のスズムシ(Homoeogryllus japonicus)が出現した。
所見: 特異性の発現条件は不明。何らかの生物を出現させる図形を描かせるものである、という推測は可能。
前回は魚類で今回は昆虫…法則性の有無を検討する必要がある。
実験記録xxx-JP-3
対象: ██博士
実施方法:実験記録xxx-JP-1に同じ。
結果:██研究員が実験のためSCP-xxx-JPをロッカーから取り出そうと扉を開け、SCP-xxx-JPを正面から視認したところ、██研究助手はSCP-xxx-JPを取り出す前に、所持していたマジックペンで金属製のロッカー内にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後にSCP-xxx-JP-Aから、一匹のトウキョウトガリネズミ(Sorex minutissimus hawkeri)が出現した。
所見: SCP-xxx-JPの特異性の発現条件として、SCP-xxx-JPに触れる必要性はないと推測される。
ロッカーの扉を開けた直後に今回の結果が得られた、ということは、特異性は視認により発現する可能性が高い。また、筆記具の種類は何でもよい、と考えられる。
実験記録xxx-JP-1からxxx-JP-3が行われる間に、██博士とエージェント██は合わせて██回にわたり、SCP-xxx-JP-Aを不定間隔で描画し、その度に小動物や昆虫を出現させました。解剖や観察の結果、これらの生物は通常の種と全く同一であり、特異性を有してはいませんでした。これを受けて、SCP-xxx-JPの視認後には、Aクラス記憶処置を施すことが決定されました。
実験記録xxx-JP-4
対象: D-xxx-JP-1
実施方法:実験記録xxx-JP-3の終了時に、SCP-xxx-JPの正面をロッカーの扉側に向けておき、SCP-xxx-JPを視認させ、その形状について記載させる。
結果: D-xxx-JP-1がロッカーを開け、SCP-xxx-JPを視認してから3分が経過したころ、D-xxx-JP-1はメモ帳にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aから、一匹のイエスズメ(Passer domesticus)が出現した。出現したイエスズメは、D-xxx-JP-1の頭部にとまった。
所見: 正面からの視認は特異性発現の条件である可能性が高い。
他の角度からの実験を行い、特異性の発現条件の絞り込みを行う。
実験記録xxx-JP-7
対象: D-xxx-JP-1
実施方法: 実験記録xxx-JP-3の終了時に、SCP-xxx-JPの背面をロッカーの扉側に向けておき、SCP-xxx-JPを視認させ、その形状について記載させる。
結果:D-xxx-JP-1がロッカーを開け、SCP-xxx-JPを視認してから15分が経過したころ、D-xxx-JP-1はメモ帳にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aから、一匹のウェルシュ・コーギーが出現した。出現したウェルシュ・コーギーは、困惑気味のD-xxx-JP-1の足元を、楽しそうに走り回っていた。
所見: 背面でも特異性は発現した。
出現したコーギーは、人に慣れていた。どこかで飼われている可能性があるので、特異性が無ければ返却を検討する。
エージェントを通じて調査したところ、██県██郡において、このウェルシュ・コーギーを探している旨の張り紙が発見されました。これを受けて、エージェント・███が発見者を装い、このウェルシュ・コーギーを飼い主の下に送り届けました。
実験記録xxx-JP-9
対象: 財団で飼育しているチンパンジー(Pan troglodytes)。文字や図形を描く能力はない。
実施方法: ボールペンとA4ルーズリーフ1枚を置いた実験室内で、SCP-xxx-JPを視認させる。
結果: チンパンジーがSCP-xxx-JPを視認してから4時間が経過したころ、チンパンジーは乱雑に握ったボールペンでルーズリーフにSCP-xxx-JP-Aを正確に描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aから、一羽のコフラミンゴ(Phoenicopterus minor)が出現した。
所見: 筆記具が握れさえすれば、人間でなくてもSCP-xxx-JPの影響を受けると推測される。
他の類人猿で同様の試験を行い、裏付けを取る必要がある。
実験記録xxx-JP-14
対象: D-xxx-JP-5
実施方法: SCP-xxx-JPを正面から視認させ、筆記具とメモ用紙を渡しておく。
結果: SCP-xxx-JPを視認してから5秒経過したとき、D-xxx-JP-5はメモ用紙にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aから、██匹のヤマトゴキブリ(Periplaneta japonica)が出現した。出現したヤマトゴキブリは一斉に、D-xxx-JP-2の顔面に[削除済]。
所見: 時間の測定ができなかった実験記録xxx-JP-3を除けば、暫定的な最短時間が記録された。
しかしながら、実験記録xxx-JP-3においては、ロッカーを開けた瞬間に特異性が発現したので、本来の特異性の発現までの時間はさらに短いと推測される。
出現したヤマトゴキブリは、現在も研究のため飼育されています。異常性がないことが確認されたので、一定数を超えたものは、飼育中の実験動物の餌として使用することが許可されています。
実験記録xxx-JP-17
対象: D-xxx-JP-6
実施方法: xxx-JP-14と同じ
結果: SCP-xxx-JPを視認してから1時間ほど経過したころ、D-xxx-JP-6はメモ用紙にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aは発光したものの、何らの生物も出現しなかった。直後、D-xxx-JP-6が倒れると共に、異常な臭気が室外にまで広がった。室内の大気成分を分析したところ、非常に高濃度の二酸化硫黄(SO2)と共に、未知の細菌(SCP-xxx-JP-A-17)が検出された。回収された時点でD-xxx-JP-6は死亡しており、遺体には二酸化硫黄中毒特有の痕跡が生じていた。
所見: 大気成分を分析したところ…木星の衛星██の成分に近似していることが判明した。
今後の実験においては、実験室内の環境の激変を考慮する必要がある。
実験xxx-JP-17で使用された実験室は、ガス消毒、熱消毒及び放射線消毒により、SCP-xxx-JP-A-17が完全に除去されたことが確認されるまで、除去作業にあたる職員以外の接近を禁止します。
実験記録xxx-JP-19
対象: D-xxx-JP-7
実施方法: xxx-JP-14と同じであるが、D-xxx-JP-7にはガスマスクと放射線防護スーツ一式を装着させている。
結果: SCP-xxx-JPを視認してから30分が経過したころ、D-xxx-JP-6はメモ用紙にSCP-xxx-JP-Aを描画した。直後、SCP-xxx-JP-Aが発光し、山羊頭をした、背部に一対の黒翼を持つ存在(SCP-xxx-JP-A-19)が出現した。SCP-xxx-JP-A-19はしばらく不動であったが、その場から逃げ去ろうとしたD-xxx-JP-7に反応し、異常に発達した爪でD-xxx-JP-7を襲撃した。D-xxx-JP-7がSCP-xxx-JP-A-17の攻撃を運良く回避し続けたことにより、機動部隊ふ-17(”祓魔小隊”)をSCP-xxx-JP-A-19が実験室外に移動する前に投入することができ、小火器による銃撃により、SCP-xxx-JP-A-19の無力化に成功した。しかしながら、無力化と同時にSCP-xxx-JP-A-19はその場から消失したため、SCP-xxx-JP-A-19の正体は不明である。
所見: SCP-xxx-JPには、我々の世界以外の生物…否、存在を出現させる可能性がある。
未発見・未収用のSCPが出現することを考慮すると、現在のSCP-xxx-JPの収容プロトコルには再検討の余地があるといえる。
上記の事案を受けて、現在SCP-xxx-JPの収容プロトコルが再検討されています。収容プロトコルが再決定されるまで、SCP-xxx-JPを用いた実験は凍結されます。
アイテム番号: SCP-xxx-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPの発生区域は、カナダ政府の協力の下、████████州立公園内の特別保護区域として、SCP-xxx-JPの発生時期の前後一カ月通年に亘り、一般の立ち入りを禁止します。特別保護区域の外周2km4kmの位置に有刺鉄線を張り巡らせ、侵入検知用のセンサを設置して警戒エリアを形成すると共に、森林警備隊に扮した機動部隊により24時間体制で侵入者の排除を行ってください。侵入者については、発見次第警戒エリア外に連行し、身体検査及びインタビューの後、Bクラス記憶処置を行い解放してください。侵入者の捕獲用に、機動部隊には電気銃、ネットランチャー、スタングレネード等の非致死性の装備が追加で支給されます。
但し、SCP-xxx-JP発生の前兆現象が観測されたときは、SCP-xxx-JPの終息が確認されるまで、有刺鉄線を突破した侵入者の追跡は行いません。機動部隊はSCP-xxx-JPの終息が確認された後で特別保護区内の捜索を行い、侵入者の身柄の回収を行います。もし侵入者が生存していた場合は、できるだけ終了させることなく身柄を確保してください。
特別保護区域内には気圧計や温度計等の観測機器を設置し、通信機器を介して、測定結果が職員及び機動部隊の情報端末に105分間隔で送信されるようにしてください。SCP-xxx-JP発生の前兆現象が観測されたときは、職員及び機動部隊は退避時間を考慮して直ちに作業を中断し、SCP-xxx-JPの発生予測時間の30分前までに速やかに警戒エリア外に退避してください。SCP-xxx-JPの収束後には、観測機器及び通信機器に破損が無いかを確認し、破損している機器については直ちに交換してください。
SCP-xxx-JP-1は、2180mm×580mm×550mmのステンレス製のケースに収め、内部を真空状態とした上で、特別保護区域の中心部に埋めてください。SCP-xxx-JPに関係ない降雨や風等の影響でSCP-xxx-JP-1を収容したケースが露出しないよう、ケースを埋める穴は2m以上の深さとしてください。
SCP-xxx-JP-1が収容されたケースの掘り出し及び特別保護区域外への移送には、O5による承認が必要です。補遺xxx-JP-2以降、SCP-xxx-JP-1の特別保護区域外への移送は、理由を問わず禁止とされました。
SCP-xxx-JP-2は、サイト████の古書収容室の███番棚に収容してください。SCP-xxx-JP-2は有害な特異性を発揮するものではありませんが、経年劣化が激しく崩れやすいため、取り扱いには相応の注意を払ってください。
説明: SCP-xxx-JPは、カナダ連邦マニトバ州の████████州立公園の特別保護区域内で発生する異常な気象現象です。この気象現象は6月と12月の中頃からおよそ一カ月の間に事案xxx-JP-1以後、最長半年周期で不定期に発生します。
追記:事案xxx-JP-2以後、SCP-xxx-JPの発生範囲は毎回変化しています。事案xxx-JP-2以前は、特別保護区域の中心から半径約1kmの範囲に発生していましたが、事案xxx-JP-2以後は、特別保護区域の中心点が円周内部に含まれる、半径約1kmの円状の範囲に発生します。
SCP-xxx-JPは、19██年、現在の特別保護区域内において、████████州立公園で活動していた██名のボーイスカウトがミイラ化した状態で発見された事件により、財団に認知されました。事件以前より、SCP-xxx-JPはこの地域で『逆さ雨』現象と呼ばれており、ボーイスカウトはこの現象を間近で観察すべく、現場を訪れていたことが判明しています。
この『逆さ雨』について調査を進めたところ、現地のネイティブ系住民から、『白人があの地にやって来て、あの地に誰もいなくなった頃から、あの雨が見られるようになった。』という証言が得られており、19世紀初頭から中頃に発生し始めたことが推測されています。さらに、『ご先祖達は、あの雨はきっとよくないことだ、と考え、あの地には近付かなくなった。』という証言も得られており、このことが長らくSCP-xxx-JPによる被害を発覚させなかった、と推測されます。
SCP-xxx-JPが発生すると、特別保護区域内の水分が地上から上空約3000~5000mに向かって吸い上げられ、局所的な乱層雲が形成されます。水分の吸い上げが停止すると、その後1時間あたり80mm以上の猛烈な雨が、特別保護区域外の約2kmの範囲に3時間から5時間に亘って降り続けます。SCP-xxx-JPの終息後の特別保護区域内の状況から、特別保護区内にはこの降雨は及んでいないと推測されます。
SCP-xxx-JPの発生時に特別保護区域内から水分が吸い上げられることにより、特別保護区域内に存在するあらゆる存在から水分が除去されます。これにより、SCP-xxx-JPが発生すると、特別保護区域内に存在する動植物はことごとく枯死し、土壌にはひび割れが生じます。また、SCP-xxx-JPにより発生した乱層雲から降り注ぐ豪雨により、特別保護区域外の動植物は洪水や土砂崩れ等の影響を受けます。このため、特別保護区域内の植生、特別保護区域外の約2kmの範囲、及びそれよりも外側の植生は、全く異なったものとなっています。
SCP-xxx-JPが発生する際、最短で約6時間前約1時間前約30分前に、特別保護区域周辺の気象状況にかかわらず、特別保護区域内の気圧と気温が急激に低下します。気圧が950hPaを下回った、あるいは気温が2度以上低下した場合、80%以上の確率でSCP-xxx-JPが発生します。
SCP-xxx-JP-1は、199█年8月27日に、特別保護区域の中心部付近で発掘された棺に収められていた白人男性の遺体であり、遺体及び副葬品の分析により、19世紀初頭に埋葬されたものと推測されています。遺体は完全にミイラ化していますが、身体に大きな欠損はなく、保存状態は良好です。右大腿部に銃創が見られますが、この銃創は死因には直接関係しないものである、と推測されています。
SCP-xxx-JP-1は、SCP-xxx-JPの発生間隔、及び発生個所に関係していると推測されます。事案xxx-JP-1の発生の前日には、サイト████にて、遺体の分析のために遺体の一部を切除しています。また、事案xxx-JP-2の発生の前日には、SCP-xxx-JP-1は、調査のためサイト████に移送されていました。事案xxx-JP-2におけるSCP-xxx-JPの発生地点のズレは、サイト████方向となっています。
SCP-xxx-JP-2は、SCP-xxx-JP-1と共に発見された副葬品の一つであり、牛皮で装丁された1冊の本です。
SCP-xxx-JP-1と同様に、劣化しているものの記載内容の読み取りに支障はありません。1ページ目には████・█████████と署名されており、SCP-xxx-JP-1の氏名ではないか、と推測されています。内容は████・█████████の日記と思しきものであり、19世紀末乃至20世紀初頭頃のアメリカ英語で記載されています。
SCP-xxx-JP-2の記載内容のうち、SCP-xxx-JPに関連し得る内容については、添付資料を参照してください。
補遺: 事案xxx-JP-1
199█年9月12日9時27分、前回のSCP-xxx-JPの発生から約3カ月しか経過していないにも関わらず、SCP-xxx-JP発生の前兆現象と見做し得る、急激な気圧と気温の低下が発生しました。その後、SCP-xxx-JPは10時25分に発生し、14時30分に終息しました。その後の特別保護区内、及び特別警戒エリアを捜索したところ、職員及び機動部隊員、██名全員の死亡が確認されました。
これを受けて、特別収容プロトコルは変更されました。
事案xxx-JP-2
200█年
アイテム番号: SCP-xxx-JP
オブジェクトクラス: Euclid
特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPは、サイト-81██の特別人型収容室に収容します。収容室の壁及び天井は、厚さ50cmのコンクリート製とし、内外面を5cmの装甲板で覆ってください。出入口は一か所のみ形成し、複数枚の防爆シャッタを設けてください。そして、天井部分には、エチルアルコールを高速で噴霧できる噴霧器を複数、間隔を空けて設けてください。
SCP-xxx-JPの呼気中アルコール濃度を常時測定し、濃度が1.55mg/L未満になった時は、速やかに一定以上のエチルアルコールを摂取させ、泥酔状態を維持してください。呼気中アルコール濃度が低下していないときでも、1日に3回、決まった時間に栄養剤と共に、30ml以上のエチルアルコールを摂取させてください。
説明: SCP-xxx-JPは、身長176cm、体重72kgの██歳の日本人男性です。呼気中アルコール濃度が0.81mg/L以上であるときは、肝機能が異常に高く平均的な成人男性の約3倍の速度でアルコールを分解することができる以外は、特に異常性を有していませんが、0.80mg/L未満になると、その異常性を発現させます。
SCP-xxx-JPの呼気中アルコール濃度が0.80mg/L未満になると、SCP-xxx-JPの身体機能が異常活性化し、現在の骨格や筋肉量を無視して身体を肥大化させます。最大限活性化した時の推定身長は250cm前後、推定体重は160kg前後になります。このとき、SCP-xxx-JPは非常に暴力的になり、周辺の存在に対して無差別に攻撃を行います。
アイテム番号 :SCP-xxx-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-xxx-JPは、サイト-81██の小型収容用ロッカー内に刃を外した状態で保管されます。SCP-xxx-JPに刃を装着するときは、刃先の数が11回分以下になるように処理してください。SCP-xxx-JPを用いた実験を行う際は、レベル3以上の職員1名の許可が必要です。刃先の数が12回分である状態で実験を行う場合は、事前に実験計画を提出し、O5の3名以上の承認を得た上で、レベル4職員の立会いの下で行ってください。
説明: SCP-xxx-JPは、████社製のカッターナイフのホルダです。SCP-xxx-JPは一般的なカッターナイフのホルダと同じプラスチック製であり、単独では特異性を示しません。
SCP-xxx-JPの特異性は、装着した刃を切断可能な位置までスライドさせ、切断に用いたときに発揮されます。装着する刃の刃先の数が12回分であるものであれば、████社製のものである必要はなく、██社製や███████社製等の刃、さらには財団で製造した刃を装着しても特異性を発揮しました。