pechecluama
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アイテム番号: SCP-XXX-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト1010の中心部にある人間用の独房に収容されています。サイト1010は半径約1000メートルの円形の施設で、そこにはいかなるセキュリティクラスの女性職員の立ち入りを禁止します。ただし、子宮を持たない(あるいは機能しない)女性、閉経した女性、初潮を迎えていない女性は、レベル2以上の医療スタッフの診断および許可を受けた場合のみ、立ち入りを許可されます。
SCP-XXX-JPへの食糧の支給は不要です。その代わり、養分補給のために、月一度、着床が確認されたDクラスの女性職員をサイト1010に立ち入らせて下さい。SCP-XXX-JPの胎盤の補給が確認されてから、立ち入らせた女性職員を速やかにサイト1010から隔離して下さい。

説明: SCP-XXX-JPは身長140 cm、体重45 kg(胎盤無補給時)の人型の生物で、顔を隠すフード付きの黒い服を身にまとった少女のように見えます。生物学的には人間の雌と変わりはありません。SCP-XXX-JPは基本的に無気力で自発的に動くことをしませんが、意思を持ち、高尚な会話をすることもできます。

SCP-XXX-JPの不思議な特性は、周辺850メートル以内に生殖機能を持つ人間の女性が存在するときに現れます。妊娠中(着床から破水を起こすまでの期間)の女性が範囲内に存在する場合、SCP-XXX-JPの腹部は膨らみ、質量が0.5~1.0キログラム増加します。それと同時に、妊娠女性から胎盤が消失し、程無くして流産が確認されます。まだ胎盤が形成されていない女性の場合も、SCP-XXX-JPの質量は同様に増加し、程無くして女性の不妊が確認されます。この際、SCP-XXX-JPの体内には胎盤と同様の機能を持つ臓器が存在しています。ほとんどの場合、この胎盤は24時間ほどでゆっくり吸収されて消失することが判っており、SCP-XXX-JPはこれによって養分を摂取し生命活動を維持していると考えられます。SCP-XXX-JPは最大で11回まで胎盤を蓄積できることが確認されています。

まれに、SCP-XXX-JPは、吸収した胎盤を、質量と共に瞬時に消失させることがあります。それと同時に、前述の範囲内の妊娠していない女性に、胎盤を『転送』します。胎盤を受け取った女性は妊娠し、9か月前後で破水を起こします。分娩後、女性は総じて中毒症を起こして12時間以内に死亡します。この際、胎盤を調べると妊娠した女性とは異なるDNAであることが判っています。産まれた新生児は性器を持たず、ほとんどの場合2カ月以内に心不全のため死亡します。唯一生き残った新生児は、SCP-XXX-JP-1としてサイト██████の集中治療室にて生命維持装置を用いて保護されており、201█年██月██日現在まで、379日生存しています。またSCP-XXX-JP-1には、女性器の存在が確認されています。

補遺-1: SCP-XXX-JPは███県西部の山中に位置する集落で発見され、財団に保護されました。SCP-XXX-JPはかつて集落で『身重の女性を流産させる呪術師』として扱われており、別の村に密かに送り込まれ、その村を途絶えさせるなどの働きをしていました。集落の奥部に位置する祠にSCP-XXX-JPは祀られていました。なお当該集落は、全ての住民の[削除済]を以って、現在は廃村となっています。

インタビュー実験記録 - 日付201█/██/██ 

対象: SCP-XXX-JP

インタビュアー: ████博士

<記録開始>

████博士: 自分のことについて、知っていることを話してほしい。

SCP-XXX-JP: 知らないよ、物心ついた頃から、あの村にいた。

████博士: 父親や母親は?

SCP-XXX-JP: いないんじゃないかな。きっと僕は、あのぶよぶよから生まれたのさ。

████博士: ぶよぶよ、とは何だい?

SCP-XXX-JP: あの村にあった、 血みどろの池さ。といっても、いつもぶよぶよしていたから水なんてなかったのかもね。

████博士: 我々があの村を捜索した時には、そんな物はなかった。

SCP-XXX-JP: だったら、もうなくなっていたのだろうよ、あのぶよぶよは。全て出し切ったのさ、僕らをね。

████博士: それは……(5秒間の沈黙)……君と同じような生き物が現われた、ということかね?

SCP-XXX-JPは返答しない。フードの下で、にやにやと笑っているように見える。

████博士: 話を変えよう、君の……君たちの目的はなんだ?

SCP-XXX-JP: 目的なんてないよ。君たちにも、生きている目的などないだろう?僕らは君たちと同じように、何の目的もないまま子孫を残そうとする……そういえば、僕の子供たちはどこだい?

████博士: 子供とは?

SCP-XXX-JP: 僕の胞衣(えな)で生まれた子さ。

████博士: 胎盤で生まれた子供?ああ、別のサイト内で保護している。会わせようか?

SCP-XXX-JP: いや、構わないよ。いずれ彼女も自分の使命に気が付くから。

████博士: 使命とはなんだい?

SCP-XXX-JP: 君たちと同じ。子孫を残す、ということさ。

<記録終了>

████博士による報告書: 以上の内容から、SCP-XXX-JP-1もSCP-XXX-JPと同様の能力を持つことが示唆されます。したがって、SCP-XXX-JP-1の殺処分あるいは同様の収容プロトコルによる隔離を希望します。また、再度村があった地域の捜索も希望します。

補遺-2: インタビューの後、廃村の再調査が行われました。SCP-XXX-JPが祀られていた祠の奥に、池の跡のようなものを確認しましたが、インタビューの中に出てくるような赤い物質は存在しませんでした。
またSCP-XXX-JP-1はサイト1010の中心にある独房に、生命維持装置と共に移されました。現在、残るSCP-XXX-JPと同様の能力を持つ生物の発見を目的とするチームが、全国に派遣されています。