案1 出現条件を気候や日時に絡ませる
案2
太古からの記録
通信記録
乗り物に残されたメッセージ
特別収容プロトコル:インシデント-XXX-JPが発生した場合
説明:SCP-XXX-JPは不定期に乗り物に出現する正体不明の人型実体です。SCP-XXX-JPの存在は古く、人類が輸送のために動物や道具を用いだしたころから存在するとされています。オブジェクトとして登録された際の直前の出現記録は19██/05/09のアメリカ空軍の軍用機内でした。当該軍用機は離陸してから数十分後、予定されていた進路とは異なる方向へ進行し、奇怪な飛行行動を繰り返した後に[編集済み]に不時着しました。機体との交信記録は通信ログXXXを参照してください。軍はパイロットの救出に向かいましたが機体内には人影はありませんでした。また機体に搭乗したはずのパイロットは機体が出発したアメリカ軍基地のトイレの個室で下着姿のままロープなどによって拘束されていました。パイロットが機体に乗り込むところは複数の目撃者が確認していました。またパイロットへのインタビューによれば搭乗してから数十分で意識を失い、気がつくとトイレで縛られていたことが確認されています。
・SCP-XXX-JPの出現記録表(抜粋) リスト
ローマ帝国記録 兵士を輸送中の馬車が暴走し横転。御者は馬小屋で発見
中世欧州、の記録 騎士同士の一騎打ちトーナメントにおいて優勝者の鎧が空になっていた。騎士は川辺で発見
WW2、作戦行動中行進を外れた戦車を確保したところ、乗員は存在せず。基地の倉庫で拘束されていた
19██年 F1カーレースで事故した車に駆け寄るとレーサーはおらず。レーサーは会場のトイレに
・通信記録
・機体内に残されたメッセージ
「全員、準備は完了したか?」
きびきびとした男の声が室内に響く。男は全身に重厚な宇宙服のようなものを纏っていた。彼だけではない。この部屋にいる数名の人間は全員同じような格好をしている。これは気密防護服だ。化学的、生物的、あるいは放射能などの汚染から身体を保護する役目を持つ。そう、彼らは人体にとって有害な場所を探索する任務を与えられた機動部隊だった。この部屋の二重になっているハッチを開ければ、汚染に満ち溢れた、生身の人間に牙をむいて襲ってくる世界が待っている。そんな悪意の牙から肉体と精神を守るための準備を、先ほど彼らはこの部屋で終えたのだった。
「それでは外部の探索へ向かう。注意を怠るな」
隊長である男はそういうと、ハッチを開いて外へ飛び出していった。残りの隊員たちも後へ続く。
外の光景は、ひどいものだった。灰色のどんよりとした雲が空一面を覆い、どこも薄暗い。土はパサパサで、まるで生気を感じられない。辺りには廃墟や瓦礫の山が散在している。ガイガーカウンターは大量の放射能で世界が満たされていることを示していた。普通の生物はとても生きられない。
「噂には聞いていましたが、こうして自分の目で目の当たりにすると信じられませんね。こんな世界が広がっているだなんて」
隊員の一人が呟いた。
「お前はまだ異世界の探索は経験が浅かったか。俺はここよりひどい空間や異世界はもっと見てきたが、ここはそれ以上に精神的に来るものがあるな。だが……残念ながら事実だ」
「分かっています。とりあえず探索を続けて、この世界がどうなっているのかをもっと知らなければなりません」
部隊が進行中、一人の隊員が声を上げた。
「東の方向に熱の反応あり。こちらに向かってきます」
隊員たちがその方向を見ると、視線の先には異形の怪物がいた。全長五メートルはあろうかという、腹の出た大男だ。異形なのは頭が象のそれにすげ変わっており、両手を見れば鈍く光る金属製の銃器のようなものが肘から先に生えていた。怪物はこちらに向かって象と男の叫び声が入り混じったかのような低い唸りを響かせると、両手の武器から火を噴きながら突進してきた。
「総員、応戦しながら一時退避」
隊長の冷静な命令が下る。機動部隊はなんとか怪物を撒き、廃墟の陰に隠れることができた。
「どうしてあんなものが生まれてしまったんだ……」
「分からん……他のサイトとはまだ連絡が付かないらしく、一体どんなオブジェクトが収容違反を起こしたのかも分かっていない」
「一体どんなKeterなら、地上を一瞬で汚染して怪物まみれの地獄に変えられるっていうんだろうな、まったく」
「その原因の調査が、我々の仕事でもある。さあ、そろそろ行こう」
こうして隊員たちは、まるで異世界のように変わり果ててしまった地球の探索を再開した。
語尾に ですにゃ☆ を付ける記事(いぬぞうさん命令
画像の入手に成功しているなら、入手した職員からですにゃが広がって行ってえらいめにあってもいいのでは?と思った次第ですにゃ
感染者が周囲に違和感を感じるが、自分の方が異常であると認識し自分を回りに合わせようとする。SNSの特性上、観戦が広がって最初は一人の幻想でしかなかったものが現実となる。
感染者へのインタビューで異常が当たり前になって行く怖さを描写
一人目が感染。初めは違和感を感じて抵抗を示すがやがて受け入れてしまい、周囲の人間に気持ち悪がられる。しかし一人目の感染者の特異性により、語尾が伝染
特別収容プロトコル:
説明:SCP-XXX-JPは■というSNS上で目撃された猫の写真です。SCP-XXX-JPを目撃した人間は周囲の人間が語尾に「ですにゃ」を付けて言葉を話しているように認識します。初めは被験者は周囲の人間の語尾に違和感を感じます。しかし時間が経つにつれてそれが常識だと思い込むようになり、自ら語尾に「ですにゃ」を付けるようになります。SCP-XXX-JPは■SNSの■という大学サークルのコミュニティで発見されました。オブジェクトが掲載されたコメントは財団介入時には削除されていました。復元を試みたところ、発信者の特定には失敗しましたが画像の入手には成功しました。
俺は箱の乗った台車を押し続けている。ここは長い廊下だ。無機質で、窓がなくて、人工の光だけが俺を照らしている。俺の20m前方には男が一人歩いている。奴はオレンジ色の作業着を着ていて、時々タイマーとこちらを見ながら、歩みを進めている。服装に関していうなら、奴も俺も同じものだ。俺は強盗殺人を犯した。やりすぎたとは思っていたが、それでも自首する気はなかった。数週間は何とか隠れていられたが、結局警察に捕まり、死刑という判決が下された。死刑が執行されるのかと思えば、妙な連中が俺に会いに来て、死刑になる代わりにとある施設で働かないかと持ち掛けてきたのだ。このまま死ぬのも嫌だった俺は、その契約に了承した。そして死刑執行の日、俺は地獄じゃなくてこの研究施設みたいなところに連れてこさせられちまったわけだ。前を歩いている奴の経歴が何かは知らないが、俺と同じでろくでもないことをしでかしたのだろう。だからこうして、この奇妙な作業に従事させられているんだ。
今日俺たちに与えられた仕事は、何とも七面倒くさい内容だった。指示された部屋に行くと、そこには2mほどの大きな箱が台車に載せられていた。どうやらこれを運ぶらしい。まず俺たちは3分27秒を計測するタイマーを与えられた。そのタイマーは3分27秒経つとまた0に戻って時を数えはじめる。警備員に囲まれながら、白衣を着て本を抱えた女は説明した。「あなたたちのうち片方は、先に廊下に出て、台車から20m離れた位置にいてください。そしてそのタイマー開始と同時に、もう片方があの箱に近づいて、目的の部屋に向かって運んでいってください。先に出ていた方は、台車と間隔をあけながら歩いてください。タイマー終了時刻が近づいてきたら、先行していた方は一時停止し、台車が追いつくのを待ってください。追いついたら台車を運ぶのを交代します。交代して手が空いた方は、台車から20m離れて目的地に先行してください。目的の部屋に着くまで、これを繰り返していただきます。注意点ですが、交代して台車から離れる作業はタイマーがリセットされる前に素早く終えてくださいね。潰されちゃいますから」
なんだって台車一つ運ぶのにこんなことをしなければならないんだ。普通に押していくだけじゃいけないのか?宿舎で他の奴も愚痴っていたが、どいつもおかしな実験や、奇妙な部屋の清掃にこき使われているらしい。帰ってこなかったのも何人かいた。今俺が運んでいるこれも、ただの箱じゃない危ない何かなのだろうか。そんな詳しいことまでは教えてくれなかった。運ぶのに必要な知識さえあればいいんだろう。逆に言えば、それさえ守っていれば俺たちが危険な目に合うことはないんじゃないだろうか。
財団情報局("Foundation Intelligence Agency")
第三本部を日本国内のサイト-8190に設置する。
活動内容
財団情報局は財団の諜報機関である。未発見の異常存在の調査、要注意団体への対応・工作、情報資料の作成、エージェントの統括・訓練を主な活動とする。
組織形態
工作部門
フィールドエージェントを用いて情報収集や工作を行う。
・対オブジェクト部
異常存在に対し、フィールドエージェントを用いての捜索・調査に当たる。第一課にはAnomalousアイテム係を、第二課には超常現象管理係を置く。
-第一課(物体系オブジェクト担当課)
-第二課(現象系オブジェクト担当課)
-第三課(人型オブジェクト担当課)
・対要注意団体部
要注意団体の動向、形態を調査し、場合によっては潜入任務も行う。対人技能が大きく要求される。
・防諜部
外部からの財団への情報工作の妨害や、敵対組織の諜報活動の妨害を行う。
・装備支援部
フィールドエージェントの携行装備品の開発、改良、支給を担当する。
情報部門
情報の評価・分析、情報資料の作成に従事する。
・要注意団体分析部
・オブジェクト資料作成部
技術部門
技術的情報収集手段の研究・開発に従事する。
・研究開発部
・通信傍受部
総務部門
総務、全体の統括、人事、訓練などを行う。
・総務部
・司令部
・人事部
・訓練部
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Keter
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPは現在未収容の状況にあります。各国の軍事監視衛星や防空システムなどを利用し、SCP-XXX-JPの動向を常に探査してください。また、常に進行経路を予測し、SCP-XXX-JPの通過ルート上の地域には警戒体制を敷いてください。爆撃予測地点が絞られた場合、付近に存在する要人への避難勧告が優先して伝達されます。そして地域の部隊と連携した爆弾無力化機動部隊ファイ-17"空の盾"を現地に派遣してください。SCP-XXX-JPから投下された爆弾は、地上への被害を最小限に食い止めるためにあらゆる手段を用いての無力化が行われます。不発で済んだ場合はこれを回収し、爆弾解体プロトコルに基づいて適切に処理してください。万が一民間人に被害が生じた場合は被害地域の特性に応じたカバーストーリーを随時展開します。詳細に関しては各国別カバーストーリー資料を確認してください。SCP-XXX-JP進行経路上に民間または軍用航空機の航路が重なる場合、カバーストーリー「エンジントラブル」を展開して離陸時間を変更するか、進路を変更させてください。SCP-XXX-JPが一般人に目撃され、SCP-XXX-JPに関する記録が流出する恐れのある場合は記録を回収し、処理するとともに対象の一般人の記憶処理を行います。流出状況がひどい場合には、情報攪乱のために財団により偽装された情報を流布してください。SCP-XXX-JPに接触する可能性のある治安維持組織にはカバーストーリー「実験機の飛行」を用いてSCP-XXX-JPの目撃情報の偽装を行います。現在SCP-XXX-JP撃墜作戦は許可されていません。ですが完全な無力化、及び捕獲の手段は常に考案中です。また、世界中の各組織が保有する航空核爆弾の保有状況を常に確認し、消失が確認された場合にはO5評議会への報告を行うとともに、世界中でのSCP-XXX-JPに対する最高脅威度レベル警戒体制を敷いてください。
説明: SCP-XXX-JPはアメリカ空軍の開発した試作ステルス戦略爆撃機XB-██です。XB-██は197█年から開発が始められました。XB-██は、高速で目標地点に爆撃を行った後、転回せずに地球上を一周して基地に着陸する、というコンセプトの元に設計されています。XB-██は全翼機で、その形状はステルス性を最優先した設計となっています。機体仕様は、全長:20.13m、全幅:49.55m、全高:5.12m、最大速度マッハ2.34、巡航速度マッハ1.24です。高度なステルス機能を有し、既存の対空レーダーでの発見は困難を極めます。また、通常爆弾以外に核爆弾の搭載が可能です。これ以上のXB-██の仕様に関する詳細は、「XB-██仕様書」を参照してください。
SCP-XXX-JPの特異性は非劣化性、航空爆弾やミサイルの自機への瞬間転送、及びそれを用いた無差別爆撃です。SCP-XXX-JPは現在、大気圏内を継続して飛行中です。SCP-XXX-JPは198█年██月██日の試験飛行にて離陸して以来、着陸、整備点検、及び燃料補給を一度も行っていません。光学的手段を用いての観測において、SCP-XXX-JPの損傷及び劣化は現在まで一切確認されておらず、SCP-XXX-JPがどのようにして機体及び飛行状況を維持しているかは現在も不明です。SCP-XXX-JPは地球上に存在する航空爆弾やミサイルを空間的に転送し、自身の機体に装備することが可能です。「XB-██仕様書」において記載された所定の爆弾以外であっても装備及び発射が可能です。本来航空機に搭載不可能な弾道ミサイルや、連携システムを用いてのみ発射可能なミサイルでもSCP-XXX-JP単独での運用が可能です。SCP-XXX-JPはこの転送方法を用いて定期的に爆弾を補充します。補充された爆弾は概ね人口密集地帯に投下されます。爆撃地点と時期は完全には予測不可能ですが、SCP-XXX-JPの現在の進行方向からの計算により、爆撃推定地域はある程度絞り込むことが可能です。SCP-XXX-JPがこれまでに爆撃した国家は様々です。しかし人口や国土の面積のためにアメリカや旧ソ連などへの爆撃が多く確認されています。SCP-XXX-JPが爆撃する地域に何らかの条件が存在するようには見えず、無差別に爆撃を行っていると推測されます。現在までに起きた爆撃事案は全4█件で、平均で年におおよそ1.█回ほどの爆撃が行われました。内、核爆弾が投下された回数は█件です。さらに全件中、爆撃の無力化に失敗し、被害が出たのは5件です。
SCP-XXX-JPは自身への攻撃に対し、回避行動を取ります。これまで対空ミサイルや機銃掃射による攻撃が試みられましたが、現在まで命中していません。これらの攻撃に対してはチャフやフレアなどのデコイの使用、機体自身の操作による高度な回避運動が取られます。過剰な攻撃が継続した場合には、SCP-XXX-JPは装備されたミサイルを用いて迎撃を行い、目標を破壊します。またこの際、敵機が装備するミサイルを転送を用いて奪取し、敵の攻撃手段を消滅させることもあります。こちらからSCP-XXX-JPに攻撃を行わず、付随飛行を行う場合はSCP-XXX-JPは危害を加えようとはしません。
SCP-XXX-JPは試験飛行中に特異性を獲得しました。SCP-XXX-JPがアメリカ合衆国の████州上空を試験飛行していたところ、突然パイロット及び外部電波からの操作を受け付けなくなりました。アメリカ空軍によってあらゆる対抗手段が試みられましたが、SCP-XXX-JPの操作を奪還することは不可能でした。SCP-XXX-JPが操作を受け付けなくなってから1時間後、パイロット2名が脱出したため、以後SCP-XXX-JPは無人機となりました。その後、SCP-XXX-JPは大西洋上空へ進行しました。試作機の国外脱出による機密漏洩及び領空侵犯による国際情勢の悪化を憂慮した当局は、緊急にSCP-XXX-JP撃墜作戦を決行しました。作戦は失敗し、SCP-XXX-JPは地球上を一周して再びアメリカ大陸上空を通過しました。その際、SCP-XXX-JPはアメリカ本土への爆撃を行いましたが、アメリカ軍が爆弾の撃墜に成功しています。現在まで数十回に渡るSCP-XXX-JPの撃墜及び捕獲作戦が計画されましたが、いずれも失敗しています。詳細に関しては下記のXB-██撃墜作戦報告書を参照してください。なお、一連の作戦において財団の承認なしに決行された作戦がいくつか存在します。
作戦報告書1 - 日付198█/██/██
対象: XB-██
目的: XB-██の撃墜
実施方法: F-16を2機用いて、XB-██後方より接近し、空対空ミサイルを発射し撃墜する
結果: 発射されたミサイル4発及び機銃弾は、フレアやXB-██の回避運動により命中せず。その際の機動は本来のXB-██の仕様を遥かに凌駕するものであった。
分析: 少数部隊によるXB-██の撃墜は困難に思われる。しかし機体の機密漏洩を防ぐために目標の撃墜に尽力せよ。
作戦報告書4 - 日付198█/██/██
対象: XB-██
目的: XB-██の撃墜
実施方法: 太平洋上に第7艦隊を展開し、艦対空ミサイル及び空母打撃群によるXB-██の撃墜を行う
結果: 作戦中、複数のミサイル駆逐艦に搭載されていた艦対艦ミサイルが突如として消失。数分後、XB-██からの艦隊に向けての飛翔体を確認。いずれも前述の消失したミサイルと同等のものであった。出撃した戦闘機15機はうち9機が未帰還。第7艦隊はイージス艦1隻が小破、空母1隻が中破、ミサイル駆逐艦2隻が大破の結果となった。
分析: 信じがたいが、XB-██は爆弾やミサイルのテレポートを行える可能性がある。XB-██の通常兵器による撃墜は不可能であると推測される。
補遺1: 現在、SCP-XXX-JPはアメリカ合衆国製の戦略核ミサイル██████を搭載しており、SCP-XXX-JPに対するレベル5警戒体制が世界中の財団及び軍事組織において敷かれています。SCP-XXX-JPによる今回の爆撃の阻止失敗は、世界情勢不安、核戦争勃発、強いては終末戦争によるXK-クラス世界終焉シナリオが予期されます。また、SCP-XXX-JPの性能に驚嘆し、私有目的でのSCP-XXX-JPの捕獲を試みる団体も出現しはじめています。財団全職員はこれらの動向に注意してください。
補遺2: SCP-XXX-JPの将来的な無力化のために世界中での核廃絶プロトコルが提案されましたが、現実的ではないとして却下されました。この提案は現在保留中です。
アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe/Euclid/Keter
特別収容プロトコル:
説明: SCP-XXX-JPは現在詳細不明の組織である「エヴァリオ界際証券会社」に関係するオブジェクト群です。SCP-XXX-JPは前述の組織の構成員を名乗る人型実体(SCP-XXX-JP-1と指定)、SCP-XXX-JP-1によって紹介、販売される金融商品、サービス(SCP-XXX-JP-2)、及びSCP-XXX-JP-1の所有する異次元へのテレポートポータルを備えたアタッシュケース(SCP-XXX-JP-3と指定)からなります。
先進国█ヶ国において、一定以上の資産を有する一部の企業、個人宛にエヴァリオ界際証券会社の名前が記載されたダイレクトメールが不定期に配達されることが確認されています。ダイレクトメールはエヴァリオ界際証券会社、取扱商品、サービスの宣伝文が記載されています。ダイレクトメールそのものに異常性は存在しません。ダイレクトメールを受け取った人物(以下対象者)がダイレクトメールに記載されている電話番号、メールアドレスに連絡を行うと、契約の案内がなされ、さらに詳細な資料を希望した場合連絡相手は訪問販売員を参上させる旨を述べます。連絡終了後、10分以内にSCP-XXX-JPー1が対象者の居場所に現れ、エヴァリオ界際証券会社のサービスの説明を始めます。
日本国内で発見されたダイレクトメールの広告文(一部抜粋)
_間次元投資、あなたも始めてみませんか?_ エヴァリオ界際証券会社では煩雑化する間次元金融取引を仲介し、個人のお客様でもお手軽に取引できるようなサービスをご用意しています。地球市民の皆様に開かれている次元チャンネルにおいて、取引可能な界際株式市場上場銘柄数は全部で33225銘柄。それらすべての銘柄を、エヴァリオ界際証券会社は取り扱っております!単元価格の大きな銘柄でも、一口一万円から投資可能なサービスもございます。また、界際税務機関への確定申告を省ける特定口座(源泉徴収済み)の設置も可能です。これを機会に、証券口座の開設をご検討ください。
エヴァリオ界際証券会社は「発展途上文明における経済保護及び金融取引規制法」の元、界際規制局の認可を受けて地球上に事業展開している唯一の証券会社です。
エヴァリオ界際証券会社が紹介する金融商品、サービスの一覧
商品、サービス名 |
概要 |
|
異次元株式投資 |
|
内容 |
内容 |
内容 |
内容 |
財団の助手業務とは
上級研究員の補佐
SCPオブジェクトへの定性的及び定量的研究のアプローチ
定性的研究 :オブジェクトの起源 インタビュー 動機、心理の推測 文化的背景の読み取り 映像記録の内容分析 フィールドワーク 会話分析
定量的研究: オブジェクトの産出物の化学分析 数学モデル 各種測定 物理法則の研究
研究員:学院博士課程修了者や博士の学位取得者などが業績や人物審査により、採用される場合が多い。
財団は知識と知性さえあれば学士でも採用しそう。
研究は中テーマ毎に分けられた研究室単位で行われるが、実験室、備品、労務、人事、予算と事務手続きといった管理単位の意味合いの場合が多く、実質の研究は各々の研究員以上の研究者単位で行われる。
トップダウン型の研究所は、研究は組織的に行われ、下記の職階構造が有効に働くが、ボトムアップ型の研究所は各々の研究者が一人で店舗を出店しているような感覚の事業スタイルとなっている場合もある。
研究所では、研究テーマごとに各研究室に分かれ、通常は学生はいない。ここでは、
技術、見習いスタッフ(技士や助手)
→研究員
→主任研究員、室長
→部長
→副所長
→所長
という階層構造を採用している機関が多い。
○研究の流れ 「研究とは仮説の構築とその検証、再評価の延々たる繰り返し」「計画、実行、評価」
1 予備調査、予備実験、先行研究のレビュー:文献調査、討論、予備的な実験等を行う。
2 研究目的の決定:どのような問題を解決、解明しようとするのかを決定する。どのような切り口、着眼点か。
3 仮説の構築
4 (仮説検証のための)調査方法、実験方法の立案、実験の準備:実際に行う実験を「いつ、どこで、何をつかってどのように何を行う」といったルーチンワークレベルの作業手順におとす。必要な機材の購入、自作。解析方法、実験回数の選択などは統計学特に実験計画法に従って検討する。
5 実験、調査(データの収集、データの解析):"(4)"で立案した計画に沿って実際の実験、調査、解析などを行い、結果をグラフや図や表にまとめる。適宜統計処理を行う。偶然の発見や誤謬がある。実験ノートを用いる。
6 考察:仮説、研究目的の妥当性の評価、得られたデータから予想あるいは主張できる内容の抽出、仮説の真偽判定及び修正、及びそれらに基づいた研究計画の修正などを行う。また、得られたデータや先行研究によって得られた事実にどのような文脈の中におくのかを検討する。
7 研究成果発表の公表:財団学会発表・財団機関誌への公刊、研究室内、サイト内での研究報告会、審査会等。ここでもらった意見の一部は研究にフィードバックされる。
8 突然のひらめき
9 偶然的な発見
10 偶然(学会、ディスカッション)などで情報にめぐり合う
11 研究経費の獲得
実験計画法:
局所管理化 影響を調べる要因以外のすべての要因を可能な限り一定にする。
反復 実験ごとの偶然のバラツキ(誤差)の影響を除くために同条件で反復する。
無作為化 以上でも制御できない可能性のある要因の影響を除き、偏りを小さくするために条件を無作為化する。例えば実験を行う空間的・時間的順序の影響があるかもしれないから、決まった順序でなく実験のたびに無作為に順序を決めるなど。これは生物学などの実験で特に重要である。
真家助手が研究員としてのランクアップを目指すための研究をしながら、他所の研究室の助手や秘書をする物語
Taleか合同誌で
テーマ 財団内の研究ってどんなの?助手の仕事ってどんなの?科学部門の階級や昇格制度は?
登場キャラ 真家助手、上級研究員の誰か
真家研究助手 デスクは神宮寺博士の研究室。普段は神宮寺博士の常勤助手だが、他の上級研究員や研究プロジェクトの助手、秘書も行っている。作中では神宮寺研究室の実験計画法による計画と、他の研究室の実験準備補佐を現在担当中。また、研究員として昇格するための論文も執筆中。
真家研究助手は所属のサイトにある図書館にいた。神宮寺博士の研究室で新たな研究を行うことになったため、その予備資料を集めに来ていたからだ。
「世界彫像全集、彫像の歴史、それと3Dモデリングの方法ね。あとは……」
手元にあるメモを見ながら、必要な資料を次々と本棚から取り出していく。
「そしてお次は……初期収容時の資料と先行研究の報告書漁りだ」
本の貸し出し手続きをカウンターで済ませながら、真家は次に必要な資料のことを思い出していた。
「あら、この本は?」
図書館の職員さんがバーコードも何もない「神宮寺 綴」と書かれた本を取り上げ、訝しむ。
「あっ、それはうちの博士です。貸し出し本と一緒に重ねてしまってましたね。すいません」
借りた資料本を鞄に詰め、神宮寺博士を手に抱えて、真家は次の資料室へ向かった。
「今回の研究で行う第一次実験の内容は、オブジェクトの三次元スキャニングによるデータ解析及びシミュレーションで……」
真家研究助手は手元の本、もとい神宮寺博士に目を落としながら発言する。ここは会議室。研究チームによる会議が開かれている。会議室に顔を連ねるのは上級研究員が数名、一般研究員がその倍くらい。この中でもっとも位が低いのは真家だろう。そんな真家が会議に出席しているのはもちろん、神宮寺博士の補佐である。神宮寺博士は今回の研究のリーダーだ。だが、博士は自分で発話することは出来ない。だからこうして助手である真家が、博士の紙面に次々と繰り出される思考を読み上げていく。たまに親切すぎるぐらいの振り仮名が漢字に振られていて、子供じゃないんだから、と思いながらも真家は博士の代理をこなしていった。
『実験の準備のほうは順調ですか?』
神宮寺博士の紙面に文字が浮かび上がった。ここは神宮寺博士の研究室にある真家のデスクだ。真家は今、今度行う予定の実験計画について計算を行っていた。デスクのすぐ横には、神宮寺博士がブックスタンドで見開きになっている。
「実験手順の効率化はもう終わりました。新たに必要な機材やソフトウェアの購入申請ももうまとめてあります。申請が通るといいですね」
真家はコーヒーを一口啜り、出来上がったデータの映ったディスプレイを博士の方に向ける。博士の白い紙面に液晶の明かりが当たり、さらに白く照る。
『実験計画法に基づく計算も、もう?』
「それは現在計算中です。実験の反復試行回数、局所管理化、作業手順の無作為化……」
オブジェクトは何が原因で特異性が発動するか分からない。実験を行う際に出る偏りをなるべくなくすために、何度も試行を繰り返したり、余計な影響を取り除いたり、作業手順のランダム化を行う。そしてそれらを効率よく組み合わせた計画を立てるのが、統計学的手法に基づく実験計画法だ。
『真家君が統計学のスペシャリストで助かりましたよ。あなたがいるおかげでスムーズな実験計画が立てられますからね』
「基礎を大学で学んだだけで、もっと必要な実践的なことはこっちに来てから学びましたから。スペシャリストってほどじゃないですよ」
本に軽く微笑みかけると、真家はパソコンの画面に向き合い、作業を再開した。
「実験終了……明日からはデータのまとめと解析だ」
真家はさっき実験室の片づけを終えたところだった。明日からの仕事に必要な資料をひとまず簡単に整理する。オブジェクトのスキャンデータ、事前資料、実験ノートなどなど。実験は行っただけではただのデータの山だ。それらをきちんと整理し、解析することが研究において大切なことだ。本格的な解析は博士たちが行うので、真家はデータ整理などの雑務を担当している。雑務といっても、必要なときに必要な資料がきちんと出てくるのは重要だ。神宮寺博士たちがスムーズに研究を進められるよう、全力でそれをサポートする。それが研究員ではない、助手としての真家の使命だ。
『ちょっと外へ連れ出してくれますか?』
真家がふと目をやると、神宮寺博士が紙面に文字を現していた。そういえばもうお昼休みだ。
「分かりました。博士も気分転換ですね」
神宮寺博士に肉体的な栄養が必要なのか、それは分からない。だが博士としての精神が残っている以上、心の栄養、すなわち休息は必要なはずだ。
「実験の考察は順調ですか?」
研究は現在、実験の考察段階に入っていた。研究員たちは皆、データや解析結果とにらめっこしたり、事前資料を読み返したりしている。博士がどれぐらい悩んでいるのかは外見からでは判別できないが、前のページを見返すと思考が右往左往している様子が文面から読み取れる。
『オブジェクト自身は見かけは単純なようでしたが、実験結果から予想外な解析が飛び出したので。このオブジェクトの性質を理解するの、思ったより一苦労ですよ』
サイトのカフェテラスに到着する。空気のこもった研究室と異なり、人や空気の流れがあるので開放的だ。職員たちの心の洗濯の場であろう。
「だったら私みたいな下級職員と話すより、他の研究員さんたちと話し合ったほうがいいんじゃないでしょうか?」
『いえいえ、これでいいんですよ。同じ事を考えているもの同士でここに来ても、仕事のことばかり思い出してしまって気分転換になりませんからね』
「まあ、それでお役に立てるなら助手としては付き合いますけどね」
『ええ、いつもありがたいと思ってますよ』
真家と神宮寺博士は財団の定期研究報告会に来ていた。サイト内ではこれまでの研究成果を報告する会合が定期的に開かれる。この報告次第で今後の予算が決まることもある。研究室にとっては重要なイベントだ。
「いよいよですね」
『ええ。考察も順調に進んで、こうして無事報告会で研究成果を発表するのに間に合いました。これというのも優秀な助手のおかげです』
「喜ぶのはプレゼンが終わるまでです。さあ、行きましょう」
真家は発表会の壇上に向かう。会場には優秀な上級研究員や一般研究員たちが席を並べている。真家は恐れない。どんな台本よりも最高の上司が手元にいるからだ。
「ふう」
真家はディスプレイから目を離し、伸びをする。ここは真家のデスク。時刻は夜。他の研究員は全員帰ってしまったため、神宮寺博士の研究室には他に誰もいない。真家はまた実験の事前準備の仕事をしていた。といってもこれは神宮寺研究室のものではない。手元にある書類の責任者署名欄には虎屋博士のサインが記されている。真家は普段は神宮寺博士の専属助手だが、設定された期間や必要とされたプロジェクトでは他の研究室の助手を行うこともある。神宮寺博士の研究が一段落したら、今度は別のプロジェクトに配属されたというわけだ。
また、財団の仕事とは別に真家は抱えている課題がもう一つあった。論文だ。これは誰の研究の手伝いでもない、自分の手で綴るものだ。真家は現在は助手だが、研究員見習いでもある。財団に入団して以来、研究員として昇格するための訓練はある程度行っていた。だが、過去のとある失態のせいで、一度降格処分を受けたのだ。紆余曲折あって現在の地位に復帰したものの、これまでの成果は白紙。見習いとしては一からやり直しとなった。この論文は正規研究員に昇格するための課題、大学で言えば卒業論文や修士論文のようなものだろうか。比較的安全で、研究もある程度済んでいるオブジェクト群から論文を書く題材を選び、指定された期間以内に仕上げる、それが課題だった。ある程度の実験や調査のための機材、費用は財団が支給してくれる。指導教官も存在する。資料もある程度揃え、テーマもだいたい決まってはいるが、論文はまだ半分も書けていない。財団の業務と並行してというのもあるから、仕方ないのかもしれないが。研究者としてスキルアップすれば、財団と研究室へ、更には人類への貢献もできるというものだ。そのうち、真家博士なんて呼ばれる日が来るかもしれない。
バタン、と隣の資料室で音がした。妙な妄想にふけっていた真家は我に帰り、ああまたか、と嘆息する。
「まったく、寝相が悪いんですから」
ベッド代わりである本棚から落下したであろう論文の指導教官を拾い上げるために、真家はやれやれと微笑んで隣の資料室への扉を静かに開いた。