SCP-827-JP 未熟だった恋愛評論家
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アイテム番号: SCP-827-JP

オブジェクトクラス: Euclid

特別収容プロトコル: SCP-827-JP及びはSCP-827-JP-1は上部四隅に監視カメラの設置された7m×7m×4mの収容室に収容されています。収容室は週に1度Dクラス職員により清掃されます。現在SCP-827-JP-2はエージェント・██████の協力によりエージェント・██████自身に固定されています。エージェント・██████には週に1度のSCP-827-JP及びSCP-827-JP-1との面会義務があります。エージェント・██████は今後も財団に雇用され続けますが、安定した収容のために、今後エージェント・██████を彼の生命に危険が及ぶ任務に派遣することは禁止されます。

説明: SCP-827-JPは「恋愛評論家」を自称する人間を主食とする肉食のヒト型実体です。諸検査の結果はSCP-827-JPが心臓の右側に未知の臓器を所有していることを除くと、生物学的にヒトと完全に一致することを示しました。通常SCP-827-JPは20代の女性の平均的な声で発話します。SCP-827-JPは任意の人間に[編集済]による視覚異常を与えることが可能です。この効果は映像記録媒体に影響を与えることができません。
SCP-827-JPは通常[編集済]によりその存在を目視されないようにし、人気の少ない場所に主な拠点を置きます。SCP-827-JPは1週間に1度捕食行為を行う必要があり、その際周囲に映像記録媒体の存在しない場所の2名で構成される交際関係にある人間の前に出現します。その後SCP-827-JPは自身の視覚異常効果を用いてその人間のどちらかに「擬態」します。この際、「擬態」された人間をSCP-827-JP-1と、「擬態」された人間と交際関係にある人間をSCP-827-JP-2とします。この際SCP-827-JPとSCP-827-JP-1は完全に同一人物のように見えます。声紋や行動などもほぼ完全に模倣することが可能なようです。極稀なケースを除いてSCP-827-JP-2はパニックに陥ります。SCP-827-JP-2が完全なパニックに陥った事を確認したのち、SCP-827-JPはSCP-827-JP-1と口論を始め、最終的にはSCP-827-JP-2にどちらかを「交際関係にあった人間」として選択させます。
SCP-827-JPはSCP-827-JP-2がSCP-827-JPを「交際関係にあった人間」として選択した場合のみ捕食行動に入ります。この際、SCP-827-JPはSCP-827-JP-1とSCP-827-JP-2を粗雑に捕食します。そのためSCP-827-JPの捕食現場にはSCP-827-JP-1とSCP-827-JP-2の組織片が散乱します。SCP-827-JP-2が「交際関係にあった人間」を正しく選択できた場合、捕食は発生せず、SCP-827-JPは姿を消します。SCP-827-JPは選択が終わるか、SCP-827-JP-1とSCP-827-JP-2の交際関係が終了するまで「擬態」を解除できないことがわかりました。
現在のSCP-827-JP-1は██████、SCP-827-JP-2はエージェント・██████であり、現在も両者はSCP-827-JPの収容のため財団の収容下で交際関係を継続しています。
補遺: [SCPオブジェクトに関する補足情報]
SCP-827-JPは捕食対象を偶然エージェント・██████に定めた際、エージェント・██████がパニックに陥らなかった上、SCP-827-JPの懐柔に成功したため、財団へと収容されました。その後、かつての不可解なカップル殺害事件の記録を参照したところ、SCP-827-JPによるものだと判明したため、SCP-827-JPと認定されました。
インタビューログ827-JP20██/09/██:

対象: エージェント・██████

インタビュアー: 片医博士

付記: 対象は現在のSCP-827-JP-2である。

<録音開始>

片医博士: おはようございます。エージェント・██████。

エージェント・██████: ああ。えーと、多分[SCP-827-JP-1の本名]のことだよな?

片医博士: そうです。話が早くて助かります。今回はSCP-827-JPとの最初の接触についてお伺いしたいのですが。

エージェント・██████: おお、嫁増殖事件の話だな?

片医博士: 嫁?SCP-827-1のことですか?

エージェント・██████: かつては。でも今は2人とも俺の嫁さ。

片医博士: はぁ…とりあえずファーストコンタクトの話をお願いします。

エージェント・██████: わかった、デートしたんだよ。そん時はちょうど流星群が来ていてさ、それを見に行こうっていう話だったから、二人で山に行ったんだ。あんまり星が綺麗だったんで結構な間2人で見とれていたんだ。なんて言ってたっけ、ペルセウス座流星群?あれよかったよなぁ…まぁ、嫁のほうが余程綺麗だけどさ、あんたも見ただろ、本当に完璧って感じだよなぁ?

片医博士: [5秒間の沈黙]すいません、話が逸脱しています。

エージェント・██████: おおっと失礼。どこまで話したっけ? ああ、そう。そのあと急に嫁が悲鳴を上げたもんだから隣を見てみるとさ、いたんだよ、2人目。

片医博士: SCP-827-JPのことですね。

エージェント・██████: そうだ。いや、もうまいっちゃったね。嫁は2人とも確かに混乱していたし、お互い怯えてるような感じだった。でもな、そん時の俺の気持ちを考えてもみろよ!あんな可愛いやつが2人もいたらもうたまらんって感じだよな!

片医博士: そうですね。

エージェント・██████: しまいにゃ2人とも俺にくっついてくるし、「どっちが本物?」なんて聞かれたけどそんなのどうでもいいってモンよ。俺は2人とも抱きしめてやってこう言ったね、「両方愛してるよ」って。

片医博士: そうですね。

エージェント・██████: だろう?でもさ、俺って優秀なエージェントだから、これは財団に報告すべきだ、って思ったわけ。保護してもらえるなら都合もいいし、彼女も職場に呼べるし?まあまさか収容室に入れられるとは思ってなかったけど。

片医博士: 賢明な判断です。

エージェント・██████: まぁラッキーだったさ、収容のために公然と愛を育めるんだから。ホントに。[その後SCP-827-JP,SCP827-JP-1のことを様々な言葉で絶賛する]

片医博士: あの、[10秒間の沈黙] これにてインタビューを終了する。

<録音終了>

終了報告書: 1年分の惚気話を聞いたよ -片医博士

インタビューログ827-JP20██/09/██:

対象: SCP-827-JP

インタビュアー: 片医博士

付記: 対象は現在のSCP-827-JPである。

<録音開始>

片医博士: こんにちは。SCP-827-JP。

SCP-827-JP: ええ、こんにちは。ここでは私は番号で呼ばれるのかしら。面白いわ。

片医博士: 質問に移ります。あなたは、収容下に置かれてから、一度も人間に対する捕食行動を行っていませんが、どういうことでしょう?

SCP-827-JP: は?なんで私は人肉が好みなんて話になっているのよ。

片医博士: 収容下に置かれる前まで、人間に対する捕食活動を行っていましたよね?

SCP-827-JP: 私は「恋愛評論家」。人間の愛について批評するのが仕事よ。

片医博士: つまりどういうことでしょう。

SCP-827-JP: 人間共は偽善の愛が多すぎる。私がそれを粛清していたのよ。

片医博士: 食糧のためではないのですか。ではどうして恋人に擬態するのですか?

SCP-827-JP: ちょっとしたクイズよ。さしずめ「どっちが本物でShow?」って感じかしら。[SCP-827-JPの甲高い笑い声]

片医博士: つまり、人間の愛をテストしていたと。

SCP-827-JP: そうなるわね。

片医博士: では、どうして自主的にエージェント・██████に従って収容されたのですか?

SCP-827-JP: 私、「愛してる」って言われたのは初めてよ。

片医博士: [3秒間の沈黙] わかりました。これにてインタビューを終了する。

<録音終了>

終了報告書: SCP-827-JPの表情は「赤面」だった。SCP-827-JPとSCP-827-JP-1及びSCP-827-JP-2の定期的な面会を収容手順に組み込むことを提言する。 -片医博士