アイテム番号: SCP-XXX-JP
オブジェクトクラス: Safe
特別収容プロトコル: SCP-XXX-JPはサイト-8123の低危険性物体保管ユニットに、発泡材などの緩衝材にくるんだ状態で保管されます。ロッカーには鍵がかけられ、SCP-XXX-JPを持ち出す際には保管担当者の許可を得る必要があります。SCP-XXX-JPを用いた実験の被験者は特別な申し出の無い限りDクラス職員のみに限られます。実験中は出現したSCP-XXX-JP-1をビデオ撮影等を通さずに直接視認することが無いようにして下さい。
説明: SCP-XXX-JPは一般的な一輪挿し用の花瓶です。ガラス製であり、底部には金色の文字で「████ガラス工房」と刻印されていますが、そのような工房の所在は今のところ不明です。SCP-XXX-JPに水を注いだ状態で、何らかの花をつけた植物を活けると、その植物の特性が変化しSCP-XXX-JP-1となります。SCP-XXX-JP-1の見た目はもとの植物と変わりませんが、どれだけ放置しても枯れたり腐ったりすることはありません。SCP-XXX-JP-1がターゲットとした人間に及ぼす影響は、以下の5つのフェーズに従って進行します。この過程は途中の段階で中断可能です。ですが中断されると、二度と再開することはできなくなります。なお、この過程の進行に強制力はなく、被験者の意思によって中断することもできるようです。フェーズ5まで至るためには標準的に5日間かかります。
フェーズ1: 被験者が初めてSCP-XXX-JP-1の花を見ると直後にそれは消失してSCP-XXX-JPと水だけが残ります。この現象は誰かがSCP-XXX-JP-1を直接見たときのみに起こり、ビデオや写真を通して見ても影響はありません。これ以降再出現したSCP-XXX-JP-1を見ることができるのはその被験者のみになり、その他の観察者にはそれが完全に消失したように見えます。被験者はSCP-XXX-JP-1の消失を「見る」と、いわゆる明晰夢を見ることができる能力を部分的に得ます。フェーズ1では、睡眠中に見る夢の中で「映像を自分の思うままに操ることができるように」なります。さらには、目覚めたあとも夢の内容を明確に思い出すこともできるようになります。ですが夢の中で自ら構築したそれらの映像は不安定で、触れてみたり、登場する人物などに声をかけた瞬間に消えてしまう程度です。SCP-XXX-JP-1は以降、最初に自身を見た被験者のみをターゲットとし、他の人間にはフェーズ2以降の影響を及ぼしません。
フェーズ2: 被験者は前回の睡眠から目覚めると、被験者にだけSCP-XXX-JP-1がSCP-XXX-JP内に再び出現したように見えます。今度は被験者がSCP-XXX-JP-1を見ただけでは消失せず、被験者が「触れる」と直後にSCP-XXX-JP-1は消失します。この日の睡眠中に被験者が見る明晰夢では、自分で創りだした映像や立体物はよりしっかりしたイメージとなり、「触れて感触を感じる」ことができるようになります。
フェーズ3: 被験者が再び目覚めてから見たSCP-XXX-JP-1は花の部分からほのかな香りを放つようになります。今度は被験者がSCP-XXX-JP-1に触れても消失せず、その代わりに匂いを「嗅ぐ」と直後にSCP-XXX-JP-1が消失します。この後に被験者が見る夢の中では、さらに創りだしたものの「匂いを感じる」ことができるようになります。
フェーズ4: 被験者が次に目覚めるとまたSCP-XXX-JP-1が見えますが、被験者がそれを見た瞬間から花が枯れ始めます。さらにもとの植物の種類によらず、ホウセンカに似たサヤに入った種子をつけます。そしてサヤが音を出して弾けて中の種が数粒出てきます。被験者はこの音を「聞く」と直後にSCP-XXX-JP-1本体、及び飛び出した種が消失します。この後に被験者が見る夢の中では、創りだしたものの発する「音を感じる」ことができるようになり、登場させた人物との対話も可能になります。
フェーズ5: 次に被験者が目覚めると、SCP-XXX-JP-1は消失したままですが、被験者には前回に出現したものと同様の種がひと粒だけSCP-XXX-JPの水の中に浮いて出現したように見えます(この種をSCP-XXX-JP-2とする)。もしも被験者がSCP-XXX-JP-2を「食べる」と、意識が混濁していき5~10分後に昏睡状態となります。この状態の被験者を植物状態のように生命維持することは出来るものの、意識が回復することはなく、数日から12ヶ月の間に死亡します。
被験者の各フェーズでの明晰夢感覚の獲得をまとめると以下の通りになります。
SCP-XXX-1との接触 | 獲得する明晰夢感覚 | |
---|---|---|
フェーズ1 | 見る | 視覚による構成 |
フェーズ2 | 触る | 触覚 |
フェーズ3 | 匂いを嗅ぐ | 嗅覚 |
フェーズ4 | 発砲音を聞く | 聴覚、人物との対話 |
フェーズ5 | SCP-XXX-2を食べる | (不明)1 |
補遺: SCP-XXX-JP-1を完全に消失させ、過程を中断する方法は以下の通りです。
・SCP-XXX-JP-1をSCP-XXX-JPから取り除く。
・入っている水をこぼす。
・被験者が次に起床してから24時間経ってもに次のフェーズに対応した行動を取らない。
以下の2つの実験では、フェーズ5まで過程を進行させた場合の被験者の変化が記録されています。